信託報酬に対する大きな誤解

本年2017年から公務員や主婦を含めた20〜60歳までのほぼ全ての現役世代が確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)に加入できるようになりました。

証券会社や銀行など金融機関は、加入者獲得合戦にヒートアップしています。獲得の目玉に、信託報酬が引っ張り出されます。




信託報酬の前に知るべきメリット

確定拠出年金は手数料や税金の負担が少ないのがメリットです。自身で株式投資や投資信託を始めるより遥かにお得です。この点をまず強く認識しましょう。その上で、信託報酬に関する情報を集めるようにしましょう。そうでないと、獲得合戦に躍起な金融機関のカモにされます。

 

株や債券にこれまで興味がなかった一般人にとって、元本が保証されない年金制度なんて信用できません。そんな人に「信託報酬」なんて入れ知恵を吹き込むと、拒否反応に変わってしまいます。「信託報酬が掛かるから負担はゼロじゃない」、「ウソがある」、「デメリットだ」と認識が180度変わってしまうのです。

私は金融機関の関係者ではありません。金融機関が信託報酬を引き合いに出して加入者獲得合戦を繰り広げているのは、無知な一般人を手玉にとっているようにしか映りません。

 

信託報酬によっては元本は減らない

信託報酬には大きな誤解があります。信託報酬によって資産が減ることはありません。

株や債券に連動している商品は、口数当たりの単価が変動します。単価を「基準価額」と云います。基準価額は、運用サイドが購入した株や債券の総額に裏付けられています。総額を「純資産総額」と云います。商品を購入している人の購入した口数の合計を「総口数」と呼ぶと、「基準価額」と「純資産総額」との関係は次のようになります。

基準価額=純資産総額/総口数

イチロー効果として幾度となく述べてきたように、

単価=金額/数量

で決まります。日々大量の経済ニュースが飛び交っていますが、それを読み解く上でも最も大事な概念だと考えています。公理だとも云えます。

 

信託報酬とは、運用サイドがいただく手間賃です。加入者からみれば運用サイドに渡す管理手数料です。信託報酬を加味すると基準価額は次のように現わせます。

基準価額=(純資産総額ー信託報酬)/総口数

 

気付きましたか。純資産総額は減っても総口数は減りません。加入者が拠出年金している商品の資産総額は、あくまで次のようにして算出されます。

資産総額=基準価額×口数

「資産」と商品の裏付けとなっている「純資産」に信託報酬が差っ引かれることによって乖離が生じます。乖離はありますが、それがイコール「損失」ではないのです。

 

信託報酬は価格感度に現れる

信託報酬は、価格感度として現れます。例えば、日経平均株価やTOPIXのような株価指数を裏付けとした商品の場合を考えてみましょう。信託報酬が0.1%だとすると、株価指数が1%上がったとしても0.9%しか上がらないわけです。思ったほど上昇しない様が転じて「損」と表現してしまいがちなのです。

 

まとめ

価格感度は、信託報酬を使わない計測方法もまります。シャープレシオです。

私のように確定拠出年金のスイッチングを毎日行っている人間にとっては、シャープレシオの方が気になります。0.9%しか上がらないのなら、それを上回る価格感度の商品を選べ良いのです。価格感度が高いということは急落のリスクも高いわけですが、毎日のスイッチングによる順張り投資によってリスク回避しています。




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