企業が抱えるキャッシュ、大海原の海水を真水に変える

経済活動を行う単位として、家計・企業・行政の3つがあると学校で習いました。

これらの経済主体の間をお金が循環することで経済は成り立ちます。

家計は所得を消費と貯蓄に回す。

企業は家計から労働力を受け、家計が生み出した貯蓄を銀行を経由して借り投資にまわす。

行政は家計と企業の所得から払われた税金により、企業では提供できない財政活動を行う。

 

学校で習ったセオリーでは、貯蓄を行う主体は家計のはずでした。

現状は、投資が役目のはずの企業が貯蓄に励んできます。

日経新聞7/2『企業の現貯金 世界で膨張』によれば、世界の上場企業の手元には総額12兆円(1350兆円)のキャッシュが積み上がっています。10年前より8割増えています。

有利子負債を超える手元資金を抱える「実質無借金」の企業は半数を超えており増加傾向です。

 

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有望な投資先が見当たらないため手元資金が増えるのだといいます。

手元資金は株主のもの。お試し感覚で安易には投資に廻せません。手元資金があるのに従業員の給与になかなか上がらないも、株主のものだからです。

 

地域別にみると記事によれば、米国が2.8兆ドル、欧州が2.1兆ドル、日本が1.9兆ドル、中国が1.7兆ドル。

余剰資金をひたすら積み上げる経営姿勢は日本企業の専売特許だったが、ここにきて世界企業の「日本化」が進んでいると当記事は述べています。

 

手元資金が増えるとバランスシートは安定する反面、ROE(自己資本収益率)は下がり経営の効率化が悪くなります。

有望な投資先が見付からない中にあっては、配当や自社株買いのかたちで手元資金を減らすことになります。

「米国株の最大の買ては自社株買いを実施する企業自身。日本でも自社株買いの増加で自社が筆頭株主である企業が全体の1割に達する」とのことです。

 

記事によれば、「こうした余剰資金を吸い上げて使っているのが政府」だといいます。

日米中の政府債務は計36兆ドルと10年前から9割増えているとのことです。

返済能力に疑問がついてもおかしくないのに長期金利が跳ね上がらないのは、企業や家計の余剰資金が支えになっているのだと記事は述べます。

 

いびつな世界です。学校で習ったセオリー通りではありません。勤め先が上場企業で持株会があるなら、昇給を望むより株購入を増やしたほうが長い目ではお得のようです。

リーマンショック以降の世界的な金融緩和でお金はジャブジャブ。自分の手元に回ってこないだけで、お金の大海原が広がっている。

 

海水を真水に変えるがごとく、日常生活で使えるキャッシュを手元にたぐり寄せたい。そんな気持ちで、私は確定拠出年金(401k,iDeCo)の運用に毎日励んでいます。

 

 

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