実績2年で3倍のワケ、口数と売買回転(3/3)

長期投資の王道は、ドルコスト平均法です。

これまでの連載記事は、私の確定拠出年金の全体の有り様と、「毎日スイッチング」の手法を取り入れた結果、2年間でどうなったかを述べました。利回りは5%に近づきました。ただ、2年前は6%に迫る時期も実はありました。毎日スイッチングがベストな手法だったかはよくわかりません。

ここでは、「もしドルコスト平均法を取っていたなら」の仮定と比較して、毎日スイッチングが妥当であるかを判断してもらおうと思いで書きました。

この記事では、国内株式連動商品単体での運用結果を述べています。他の商品を含めた全体の結果は、

商品構成は2年で大きく変化した

をご参照ください。

なお、毎日スイッチングのノウハウは、

ヒント

にまとめてあります。ご参考にしてください。

 

 




ドルコスト平均法とは

定額を定期的に拠出する投資法です。相場が下がったときには多くの口数を、上がれば少ない口数を購入できるので、相場の平均よりも安く保有できます。数学的には調和平均という考え方です。日常生活で何気に使う平均(相加平均)よりも調和平均が低くなることは、数学的に証明されています。

数学的な裏付けがあるから王道であるわけです。裏付けがあるからこそ、株式や債券の知識がない一般人に推奨されてきた手法なのです。でも、相場より安く買えるというだけで、相場の停滞が続けば元本割れのリスクはあります。万能な手法ではありません。

 

グラフの見方

横軸と縦軸は前回までに掲載したグラフと同じです。過去2年間を4分割しています。縦軸は主軸(左軸)の増減比です。

増減比(毎日スイッチング採用)は、前回グラフの増減比(時価評価額)の折れ線と同じです。

新たに追加した折れ線が、増減比(ドルコスト平均法)です。勤め先からの掛け金を100%、この商品に配分した場合の推移です。配分を全て特定商品に回すのは普通の人にとってかなりアグレッシブです。ドルコスト平均法よる最良値との比較となります。算出に必要な各月の基準価額は、モーニングスター社サイトから無料でダウンロードしました。

 

比較結果

2年後の伸びは、ドルコスト平均法が1.9倍に対して、毎日スイッチング採用では3.2倍です。毎日スイッチング採用が優位な結果となりました。

これは当然の結果です。毎日スイッチング採用では、どの期間も機動的に口数を増やしたからです。ドルコスト平均法は自動的に決まります。上昇相場であると購入口数が減るので口数は伸びません。

前回の記事で、基準価額は1.2倍に対して口数は2.6倍伸びたと述べました。時価評価額3.2倍増は、口数増加の要因のほうが強かったわけです。ドルコスト平均法を取っていたならば口数増加は低く、3.2倍ものパフォーマンスは得られませんでした。

 

まとめ

毎日スイッチングには弱点もあります。

・高値圏に向かうほど警戒しなければならない

・泳ぎ続けなければ死んでしまう

・他の商品も含めた全体でみるとパフォーマンスは良いとはいえない

まず、一点目です。上昇相場が続けば買えば買うほど取得価額も上がります。割高な口数を増やしていることでもあります。下落相場は突如としてやってきます。これまでは口数増加でやってこられましたが、下落のはじまりでは口数を減らす必要があります。一旦減らせば、その後の下落局面では売買をフル回転して取得価額を基準価額に寄せれば良いです。下落局面に入ったかの見極めは、毎日スイッチングの手法では人力に委ねられています。ボッとしていると下落局面を感知出来ず、儲けのパフォーマンスは下がってしまいます。

二点目は、気力の問題です。油断してスイッチングをサボってしまう状況です。油断は得てして相場の高値圏でやってきます。儲かっているからいいや。でも、高値圏でほったらかしていると、保有口数が多い分、ドルコスト平均法よりもパフォーマンスが悪化します。

三点目は、商品構成は2年で大きく変化した

をご参照ください。

 

結局のところ毎日スイッチングは、「いかに楽しめるか」にかかっています。楽しくなければ持続できません。持続できなければ魔が差してしまい下落時にパフォーマンスを悪化させます。気まぐれなギャンブルと大差ない行為に成り下がってしまいます。

私はこの2年間で、日経新聞が手放せなくなりました。気になるニュースは切り抜きしています。素人の私には理解できない記事も多いですが、好奇心で読んでいます。今や記事を理解するために自分の感度を高めようと、確定拠出年金の運用に励んでいるともいえます。

技術会社に勤め世間音痴で井の中の蛙状態であった私が、経済に明るくなったという定性的事実のほうが、3倍超の時価評価額ベースのパフォーマンスよりも、この2年間の実質的な成果であったとも感じています。

 

→口数と売買回転が大事

 




 

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