息子の自転車を買い替えるため、昨日、3軒のお店に行きました。店内に並んでいる自転車を取り出して、子供に乗らせてサドルの高さを確認しました。「ライトはタイヤとはの摩擦で光るんだよ」とかいいながら自転車の細部を確認しました。
実際にモノに触れながら検討できるのは、実店舗ならではのメリットです。
「ライトは電池式がいい」だとか「スピードメーターみたいなのが前についてるのがカッコイイ」なんて話してたら、夕方になってしまいました。買うのはまたにしようということになり家に帰りました。そしてふとネットをみると、子供も大人も「これだ!」と叫ぶ自転車が現れました。価格も実店舗と比べてリーゾナブルです。
実店舗で悩んでからネットで買う。一昔前では考えられなかった購入スタイルですが、今ではごく自然なものとなっています。
価格差の実態は
実店舗で購入するよりネットの方が安い場合が多いです。価格の歪みは健全な状態とはいえません。健全ではないけどネットが安いのは当たり前と思っていませんか?
実は、日本が最もヒドイようです。えっ!意外です。
日本では、お店に行けば値札どおりの価格で購入するし、チップを払う習慣もありません。他国に比べてば、いわば「1物1価」の感覚が強いと私は思っていました。
9/2日経新聞『ネット価格 店より1割安』によると、ネットと実店舗との価格差は、米大学の調査した10カ国の中で突出して高いとのことです。
価格差が高い順に10カ国を並べると以下の通りです。
1位:日本
2位:ドイツ
3位:英国
4位:ブラジル
5位:カナダ
6位:アメリカ
7位:南アフリカ
8位:アルゼンチン
9位:中国
10位:オーストラリア
日本は価格差が約13%で、2位以下は10%を下回っています。平均は約4%で、アメリカと南アフリカの間です。
なんと、8位アルゼンチン以下は、ネットのほうが実店舗より高いのです。
実態のワケ
当記事によれば、三つの理由を述べています。
一つ目は、高齢化です。「高齢化の影響もあってスマホなどを使ったネット販売の普及が他国より遅れた可能性」を指摘しています。実物をみて購入したい人や、決済手段への不安を感じる人の割合は60代が20~30代の2倍という総務省の調査があるそうです。記事では直接的な云い方はしていませんが、他国に比べ日本は高齢化が進んでいることが一因のようです。
二つ目は、実店舗間での激しい価格競争です。家電量販店では伝統的に他店舗との競争が激しい都市部に比べ郊外の価格が高いことが珍しく、ネットの価格はやすい都市部にそろえざる得ないという事情です。品目別のネット販売の伸びをグラフで示し、家電以外でも同じ状況が起きているようだと記事では示唆しています。
三つ目は、デフレです。「日本ではデフレ傾向が長く続きネットショッピングでも後発組。実店舗より価格を低く打ち出すことで新しい客層を呼び込もうとした可能性がある」との識者のコメントを載せています。
これらはもっともな理由ですが、ネットのほうが価格が高い国の事情にはこの記事では触れられていません。
国土が広い国ではネットの依存度が高くなるでしょう。流通の発達度合いで結果はかなり変わるはずです。不当に高い値段でネットで購入している国もありそうです。
実店舗に魅力がなければネットに流れる割合が増えでしょう。日本は店作りやサービスを工夫して高価格をキープしているとも解釈できます。本日9/3日経新聞『米スタバ 自社通販サイト閉鎖』によれば、米スターバックスはネットでの直販はやめ店舗体験を重視する戦略を強化するようです。今後話題を呼びそうです。
まとめ
当記事では、小売りに値下げ圧力がかかっているとの論調で語られていますが、記事内のデータをみると各国の事情はマチマチのようです。
ヤマト運輸問題で明らかになったように日本では流通業の人手不足が、ネットショッピングの普及を直近は緩やかにしそうです。
物価上昇率に影響を与えるネットショッピング。確定拠出年金(401k,iDeCo,CD)の運用に当たっても、ネットショッピングの動向は気になります。