先週から4〜12月期の決算相場です。米高官の発言に端を発して関心は為替に向かい、決算相場は影を潜めています。
為替の昨今の要因を除けば、業績上方修正が期待でき、株式市場にとっては本来であれば追い風です。1/26には外需企業の超優等生ファナックは、期待通り上方修正でした。今期は4半期ごとにこれまで上方修正してきましたが、今回もマーケットの期待に応えました。
その一方、内需企業はリビジョン・インデックスなどをみても外需ほどの勢いはありません。人口減少に起因する労働力く不足と国内需要減少は無視できない圧力です。
そんな内需への懸念を払拭しようとの思惑からか、今週1/28号日経ヴェリタスのトップ記事は『気がつけば世界標準〜日用品・サービス・・・アジアで実る内需株』です。
内需企業が目指す方向は2つ
当日経ヴェリタス記事のタイトルには「世界標準」とありますが、よく読むと内需企業が現在目指している方向は2つあるようです。
1.国内で培ったブランド力を海外展開
2.海外M&Aの推進による発展
当記事は、主に上記1に焦点をあて「世界標準」のフレーズを掲げているように感じました。
筆頭に出てくる企業は資生堂です。日経TESTの出題でもお馴染み、ブランド力を生かし中国で成功した内需企業です。
インバウンド消費は、炊飯器を量販店で大量に購入する中国人のイメージから、日本のブランド力アピールによる収益UPにマーケットの期待はシフトしています。
資生堂は東京・銀座に「SHISEIDO THE STORE」をオープンしました。世界への発信の場としてのこの地のポテンシャルは益々高まっています。
2020年に控える東京オリンピックを踏まえると、ブランド力を発揮した企業戦力は投資家にとっても魅力的です。
住友林業は海外M&Aで躍進
上記2での筆頭は住友林業です。建設業に従事している私にとっては、やはり気になる存在です。
当社は他のハウスメーカーと違って林業から発展しました。国内の数パーセントの森や林を保有する企業です。
世界史で習った独ビスマルクは、ドイツ南部に広がる「黒い森」を資本と捉え、自身の資産を増やしたと言われています。ビスマルクが生きた時代にドイツに留学した農学者・本多静六はその思想に影響を受け、誰もが知る日本きっての株式投資家です。
林業が源泉となって収益を生み出す会社、私にとっては住友林業はそんなイメージです。
住友林業が、大和ハウスや積水ハウスよりも木材にこだわってきました。他の大手ハウスメーカーが西洋発である鉄骨やコンクリートによる工法にウェイトを置く中、住友林業は在来工法にこだわり続けました。
海外からの目線からすると日本古来の工法は新鮮です。在来工法とは、壁の耐力に頼らない構造です。ふすまを全部開けても木材の柱だけで保つ構造です。オーストラリアのようなカラッとした気候の国では、開放感溢れる日本の工法は新鮮でした。
他のハウスメーカーが海外進出といえどもマンションや大規模開発で収益をあげようとしている中、住友林業は日本のブランド力を展開する企業です。
そうではありますが、資生堂のようにはブランド力を発揮できません。一生に一度の買い物とも言われる住宅は、化粧品と同列には語ることはできません。住友林業は海外企業の買収M&Aにより、当ヴェリタス記事によれば直近3年で2倍の海外売上高を実現しました。
まとめ
住友林業と資生堂の比較は極端にですが、内需企業の事情はさまざま。確定拠出年金の株式連動商品の動向をみていると、株価指数でまとめられてしまうので、外需も内需も一緒くたです。
確定拠出年金のパフォーマンスを高める上でも、個別企業の動向はウォッチしていきます。