差金決算とは何か。具体例でみてみましょう。
元本変動型商品と元本確保型商品との間で売買(スイッチング)を、繰り返します。
元本変動型商品(株式や債券に連動の商品)から元本確保型商品(いわば現金)へのスイッチングを「売り」、
元本確保型商品から元本変動型商品を「買い」とここでは呼びます。
次のように推移したとします。
約定1:時価10,000円、10口買い
約定2:時価15,000円、10口売り
約定3:時価15,000円、10口買い
約定1によって、10万円分の元本変動型商品を取得しました。
約定1の直後に、時価は急上昇し2万円となりました。
すべて売り払って(約定2)、5万円の利益を出しました。大喜びです。
直後にこんどは時価が下がったので、あらためて買い直しました(約定3)。
どれも成立可能な取引です。
ただ、「5万円の利益」は、差金決済にあたることがあります。次の場合です。
・約定1の引き渡しが終わる前に売り払って(約定2)、「5万円の利益」を得ること。
・約定2による引き渡しが終わっていない段階では、「5万円の利益」を使って再投資すること。
引き渡しには、国内商品(円建て商品)であれば4営業日、海外商品(外貨建て商品)であれば5営業日を要します。
一定期間を置かないと、売買できないわけです。
あなたが使っている確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のWebサイトでは、差金決済などできない仕組みになっています。
売る際(約定2)には、口数を指定します。約定1から引き渡しが成立するまでの期間は、売り出し可能な口数に、10口は算入されていません。
時価が上がったから売りたい衝動にかられても、口数を指定できないわけです。
買う際(約定3)には、金額を指定します。約定2から引き渡しが成立するまでの期間は、売り出し可能な金額に、15万円は算入されていません。
時価が下がり再投資したくても、金額を指定できないわけです。
そんなわけで、「法律を知らないから誤って差金決済を犯してしまった」というミスはありえません。
確定拠出年金は税金・手数料が実質ゼロで運用できるメリットを活かすために、短期売買の手法をこのブログでは紹介してきました。
差金決済の制限があることから、自分が思ったタイミングで無制限に売買することはできないのです。
短期売買を行う上で、現在売買可能な口数と金額を、把握しておく必要があるのです。