売りと買いの約定日を揃えるように発注することで、売りと買いを同じ時価にできます。
口数は、わずかに売りより買いを多く買いましょう。そうすることで、元本を痛めないので心理的な負担を減らせます。
「ほぼ同じ口数で同じ時価」で売買(スイッチング)するということは、元本の移動がほとんどありません。
にもかかわらず、平均取得単価より時価が低い(赤字▲)であっても、元本を痛めず口数を増やせます。イチロー効果です。
わずかに買いを多くすることで、元本をわずかに増やすわけです。
相場によらず定額で買い進むドルコスト平均法は、投資の基本です。
「安い単価の口をより多く購入する」という目的は同じですが、これまでに述べた同日約定売買を取り入れた方法は、
ドルコスト平均法のように買いオンリーの投資よりはるかに効果的です。
「売り」の行為が伴う分、ドルコスト平均法より取得価額を抑えることができます。
そして、確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)はどんなに売買しても手数料・税金がかからないので、
同日約定売買は極めて実践的な方法です。
さて、「わずかに買いを多くする」とはいっても、「わずか」とはどのように考えればいいのでしょうか。
ハイリスクといわれる株式連動の商品は、日経平均株価やTOPIXなどの指標に連動した値動きをします。
日経平均株価やTOPIXをベンチマークとしています。
ベンチマークとは、商品の運用製品を測る指標です。
商品の価格が下がっても、ベンチマークの下げよりマシであれば、成績は悪くないとされます。
逆に、商品の価格が上がっても、ベンチマークを上回る上昇でなければ、パフォーマンスの悪い商品と評価されてしまいます。
運営管理機関は、ベンチマークに合わせて資産の組み換えを行います。
組み替えを自動で行う商品をインデックス型商品、運営者の意思決定を介して組み替えを行う商品をアクティブ型商品といいます。
いずれのタイプの商品であっても、ベンチマークは定めいます。
確定拠出年金で扱うリスク性商品は、目論見書に必ずベンチマークとする指標が載っているので、確認してみてください。
「わずかに買いを多くする」ときの「わずか」は、ベンチマークの動きを参考にするのです。
国内株式連動商品であれば、日経平均株価やTOPIXの動きをみるのです。
これらの指標は、新聞、テレビのニュースで得られる情報です。個別株のように、特定企業の業績を知るほどの知識やスキルを必要としません。
何十年も続く指標ですから、一日に動く値幅の傾向を摑むことができます。
国内株式連動商品であれば、売りの発注をかければ、当日に約定できると述べました。
先駆けて発注した買いが誤りだったと感じても、当日の売りで相殺できます。
したがって、一日の値動きの最悪値を摑めればいいのです。
日経平均株価やTOPIXは、一日で1%も動けば、「大きく動いた」と実感できます。
ざっくり日経平均株価が昨今20,000円とすれば、1%とは200円です。
史上最悪は、1987年10月20日の3,836円下落です。米国発のブラックマンデーです。
記憶に新しいのはトランプ大統領当選日の暴落です。下落幅は900円を超えました。
大暴落は悲劇です。数日、数か月と下落が続くと心理的に追い込まれます。
ただ、1日の下落に限ると、先に述べたブラックマンデーに起因した▲14.90%が最悪です。
下落と云えば、20%とか50%とか連想してしまいがちですが、1日あたりでみれば15%未満です。
最悪2位がリーマンショックの最中の2008年10月16日。▲11.41%。
10%以上のマイナスは、この他に、
東日本大震災直後の2011年3月15日の▲10.55%、
はるか50年以上前のスターリンショックの1953年03月05日▲10.00%
の2回あります。
どの暴落も理由があり、当時は連日大ニュースであったわけです。
でも、そんな大事件と比較して、確定拠出年金で「売り」を出せないのはおかしな話です。
1%も下落すれば、新聞でかなり紙面を割いて報道されます。
最悪値を2~3%とでも捉えて売買数量を決めれば、心理的に十分納得できます。
実際にやってみれば、2~3%は過剰な考えと思えてくるでしょう。
2~3%以上の危険を察知した日は、以前から連日報道が続いた結果であることもあります。
さすがに、東日本大震災は予想できません。
一方、アメリカ大統領選挙のように、トランプかクリントンかいずれが勝利しても大きく値が動くとの予想は、
選挙当日よりずっと前から報道されていたわけです。誰が当選するかは予想が難しかったわけですが、
値が動くとの予想を当てた人は大多数でした。
日経平均株価やTOPIXの動きに、少しでも興味を持てば、
気持ちに余裕をもって、確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)の運用に取り組めるのです。