昨年末はパリティ(1ユーロ=1ドル)が目前といわれていましたが、今年になってずっと上昇傾向です。1ユーロ=1.2ドルまで到達しました。2014年末の水準です。
年初から春先にかけては、ユーロ圏の物価上昇率は2.0%に迫る勢いでした。6末のECBドラギ総裁の発言があった頃から金融緩和縮小のムードが高まり、ユーロ高を後押ししました。
さらには、5月のフランス大統領選です。新鋭39歳マクロン氏が極右ルペン氏を破り当選です。大統領選を境に「ポピュリズム」を聞く機会がめっきり減りました。大陸欧州の政治的ムードが変わったこともユーロ高の支えとなりました。
だがしかし、欧州に変化の兆しが
5月以降は、物価上昇率は1.5%前後に下がり、昨年からの勢いには停滞感が出てきたようです。
物価上昇の要因とされてきたのが失業率。ユーロ圏の6月失業率は9.1%で8年4か月ぶりの水準でした。
失業率は改善は非熟練工の増加によるところが大きく、賃金上昇は難しいのかもしれません。賃金が上がらなければ物価上昇も頼りないです。今の物価上昇率への期待は慎重をきす必要があるとおもいます。
フランス大統領マクロン氏は、早くも苦戦です。新党を立ち上げ6月国民議会選挙では圧勝したものの、今では支持率は4割を下回りました。
国防費削減で軍部の反感を買い、軍トップが辞任する騒動が起きました。また、住宅手当削減で若者の支持を失ったようです。
国外に流れるニュースをみていると、マクロン氏の剛腕ぶりが人気低下を招いているようです。
物価上昇率とフランス大統領は、8月以降はユーロ高の要因とは言えなくなってきました。
主要国中央銀行総裁が集まった8末のジャクソンホール会議でも、ECBドラギ総裁のふるまいからは金融緩和縮小に慎重さを強調しているようです。
9月ドイツ総選挙
今年の大きな政治的イベントの一つがドイツ総選挙の9/24が迫っています。
メルケル首相率いる与党が優勢である状況には変わりありません。メルケル首相は4期目を目指すと既に表明しています。
ドイツは連立政権です。総選挙によって、連立の枠組みが変わるかが注目されています。
9/9日経新聞『独政権 連立枠組み焦点~社民継続か 中堅党か~』に、連立のパターンを予想しています。
自由民主党が連立に加われば難民受け入れが慎重になり、緑の党が加われば脱ディーゼルの勢いが強まると当記事ではみています。
ドイツでは、「連立疲れ」ともいえる状況が広がっているとも記事は述べています。キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)とドイツ社会民主党(SPD)による連立が長期に渡り続いてきたので、互いの党のカラーが薄まってきているようです。
大きな変化を期待できないウップンがが溜まっているように、記事から感じました。
ドイツ総選挙で変化が感じ取れなかったら、「安泰」なのか「閉塞感」となるのか。どちらにしても、ユーロ高に影響を与えそうです。
まとめ
先週のユーロ高は、北朝鮮問題に起因していたようです。日本円と同じく「安全通貨」の仲間入りか。米国はトランプ政権の運営でリスクたっぷりなので、相対的にユーロが買われる状況は続くのかもしれません。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)の毎日の運用にあたっても、欧州の動向は気にかかります。