本日(5/25)の日経新聞に『米家計の借金 最高』と題した記事が出ています。
金融危機時の2008年を上回る水準に達しました。
2017年3月末の家計の債務残高は12兆7520億ドルで、2008年9末に記録した過去最高を500億ドル上回ったとのことです。
2008年の金融危機は、住宅購入用サブプライムローンが引き金となりました。
信用力の低い個人向けの住宅ローンです。住宅価格上昇にともない審査の甘い融資が蔓延しました。
金融機関は住宅ローンの証券化を進め、リスクを世界中に拡散させました。
長らく続いた住宅バブルは崩壊。価格上昇を見込んでムリに借りていたローンの返済に行き詰まり、一気に差し押さえが増えました。差し押さえが増えると、住宅価格の下落に拍車がかかります。
サブプライムローンを裏付けとした証券の価値は瞬く間に下がり、金融機関の損失が急増しました。
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金額=単価×数量。この単純な公式をすっとばして経済の話がなされることが、あまりに多い、そう感じています。
世界GDPの15%前後を占める米国。世界最大の消費国の人々を苦しめると、とんでもない金融危機が起こると、2008年の金融危機から学んだはずでした。
ところが、10年も経たない間に、米国家計の借金は過去最高を更新しました。
家計の債務のうち、約2/3は住宅ローンです。
住宅ローン残高は、2008年をピークに下げましたが2013年頃から上昇に転じ、2008年頃と同水準です。
今問題になっているのは、学生ローン、自動車ローン、クレジットカードローンです。
これらのローン残高は増加の一途です。
学生ローンは2008年から2倍に膨らんでいます。昨年の大統領選で民主党候補として争ったサンダース氏が、公立大学の無償化を掲げ、若者を中心に支持を集めた件は記憶に新しいです。
自働車ローン残高の増加も最近ニュースで取り上げられる機会が増えました。
米国での新車販売台数は昨年まで7年連続で増加してましたが、今年に入って前年割れが4ヵ月続いており、減速が鮮明になってきました。これを受けてか、来期増益を見込む日本企業が多い中にあって自動車業界は大幅な減益予想です。
その背景には、自働車ローンに窮する米国消費者の姿があります。
昨日5/24、5月FOMC会合の議事録が公表されました。それによれば、6月の利上げの確度が高まったとマーケットは感じました。本日の日経平均も上昇しました。
でも、利上げして大丈夫なのか。
学生ローンや自動車ローンの残高は、住宅ローンに比べれば小さく、2008年の金融危機と同じストーリーの再来を懸念する声は、今のところ金融関係者には少ないようです。しかし、利上げによってローン返済への困難も増し、米国経済を弱めていくことになるとおもいます。
6月のFOMCまで、利上げの確度を巡ってマーケットは動きそうです。
本日も確定拠出年金のスイッチングを行います。