異次元といわれた金融緩和緩和の限界が叫ばれて久しいです。株式投資では円安誘導でおいしい思いもしてきましたが、今では円高に立ち向かう勢いは無くなりました。
8月になり、北朝鮮とスペインで地政学リスク勃発です。「有事の円買い」で円高に傾いています。長らく続く「金融緩和」という景気刺激の劇薬は、効き目が激減です。
劇薬の中身は、量・質・金利
2013年には現黒田総裁のもとはじまった異次元金融緩和。昨年9月までは、国債の大量購入と引き換えにマネーを市中に回す政策でした。年間80兆円の買い入れを目標としてきました。「量」を重視した政策です。
日銀が国債を買い漁った結果、市場に流通する国債が枯渇みえてきました。株式やREITの購入に日銀は手を出しました。償還期間がある国債と違って、株式やREITは売却しなければ日銀の資産は減りません。5%以上保有する銘柄が増え、日銀が大株主である企業が続出です。1年間に6兆円の株式ETFを購入する計画です。株式相場が下げると、日銀の買いが噂され下落が止まる日が頻発しています。
国債ほどの額ではありませんが、買い付ける対象を変え、「質」を重視する政策を追加しています。
さらには、「金利」を操作する政策を追加しました。マイナス金利です。日銀当座預金に金融機関が入れたマネーに対して日銀を払うとなりました。預けた側が金利を払うので、金利がマイナスです。何のことだかサッバリわかりませんが、昨年2016年に導入したこの政策で大混乱でした。
イールドカーブ・コントロールという世界初の試み
良かれと思いはじまったマイナス金利でしたが、大混乱です。欧州で導入されていたので、マーケットは仕組みは知っていたはずです。導入発表直後は株式市場は大幅上昇で感激ムードでした。でも、市中銀行の体力を奪う政策とわかると急落です。私も大きく揺さぶられました。トンデモなく大損を出してしまったこともあって、当時の状況はよく覚えています。
この打開策として、あらたな「金利」政策が2016年9月に導入されました。イールドカーブ・コントロールです。10年債利回りを0%付近に固定する政策です。0%から乖離したら、日銀は指定した金利水準で、いくらでも国債を購入する政策です(指値オペ)。何のことだかサッバリわかりませんが、この政策は世界初です。
金融政策の手は尽くされた
アカデミックに妥当性のある政策であるかは
、ほとんど説明されていません。根拠不十分のまま、次々と劇薬が投入されました。人間の体と同じく、劇薬は徐々に効果を失います。
8/17日経新聞『日銀緩和、円高を増幅?』によれば、昨年9月にはじめた長短金利政策(イールドカーブコントロール)が災いしています。確かに。。
北朝鮮やスペインで起きた地政学リスクで、世界各国の国債利回りは下がります。株式のようなリスクの高い資産から、手堅いといわれる国債に資産は流れ、その結果国債の価格は上がり利回りは下がります。
先に述べたように、日本はイールドカーブ・コントロールによって国債利回りは0%付近に張り付いています。そのため、他国の国債利回りとの差(金利差)が狭まります。為替は金利が高い通貨に流れます。相対的に金利が高くなった日本円が買われる状況となり、円高圧力が掛かっています。
信用力が高いとされる円は、世界でリスクが発生すれば通貨高に傾きます。加えて、日銀が現在取っている金融政策が円高を助長する状況となっています。
まとめ
地政学リスクの勃発で、これまでも懐疑的であった日銀金融政策の脆さが露呈しました。個別株には疎い私ですが、金融政策の動向はいつも気に掛けています。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)の運用にあたって、金融政策は重視すべきです。