アップルがEV参入をちらり、水平分業への動き

自動車業界では今年に入って2つの大きな動きがありました。

一つ目は車載用半導体不足です。スマフォなどの半導体需要が旺盛で車載用への供給が滞り、コロナ禍で落ち込んだ自動車需要が回復傾向にあるのに生産台数を減らさざるえない事態にあることが明るみに出ました。
恐るべし半導体、車載用が不足』というブログ記事を1/9に書いたところ、「車載用半導体不足」をキーワードにしたアクセスが早速やってきました。このキーワードでGoogleで検索すると4番目に出てきていて、市場の反応はこれから本格化するのだろうと認識しました。実際、1/11~15の株式相場はこの話題で持ちきりで日経平均は2万9,000円間際まで一時上昇しました。
このブログ記事はお役御免でしょう、既にGoogleの検索には登場しません。

二つ目はアップルのEV参入です。韓国・現代自動車が前日比19%上昇の反応をみせました。




アップルがEV参入をちらり、水平分業への動き

日経新聞1/9『アップル、EV参入へ交渉』によれば、韓国・現代自動車が「アップルは現代自をはじめとする世界の様々な自動車メーカーと協議中であると理解している」と1/8に出した声明で述べています。2027年にアップルは自社ブランドのEVの販売をめざしているようです。ただアップルはコメントを避けており、現代自動車側としても話し合いは初期段階で何も決まっていないとの見解です。
かねがね自動運転の公道走行試験をするなど、アップルはモビリティ分野への進出に意欲をみせていました。

業界最大手のトヨタ自動車の時価総額が約25兆円に対して、アップルは2兆ドル(約200兆円)を超えています。自動車業界に本格参入してくるとなれば影響力は計り知れません。
アップルのこれまでの成功は、工場などの製造設備を所有せず生産工程を外部委託する”ファブレス”にありました。自らは企画・設計、販売・サポートに特化し、途中の工程は他社に任せる水平分業を得意としています。EVは部品数が少なくモジュール化が進みやすいといわれるものの、全工程に責任を持つ垂直統合型が支配的な自動車業界にもファブレスを適用できるのかはまだ未知数です。

まとめ

年間販売台数が50万台に達したEV業界トップのテスラは自社で組み立てています。安全・安心が強く求められる自動車業界への参入には容易でないはずです。
ただ、脱炭素の流れにのって注目が絶えないEVは業界再編のトリガーとなるかもしれないので、これからも動向をよくみていきたいとおもいます。