越境ECは内需企業にとって好機です。海外の消費者がインターネットを使って手軽に輸入できる「越境EC」の波がジワジワやってきています。
これまでの海外需要の取り込み「インバウンド消費」
海外需要の取り込みといえば、まず思い浮かぶのは「インバウンド消費」。海外旅行者の購買意欲にあやかった消費です。中国人観光客が秋葉原で炊飯器を何個も買う「爆買い」には、テレビニュースなどでみるにつけ圧倒されてきました。母国に住む親類・縁者向けのお土産として大量に同じものを購入するわけです。でも爆買いのピークは早くも過ぎました。爆買い銘柄ラオックスは今や昔。2015/7には5,000円を超えた株価は足元で600円程度です。
インバウンド消費は、「モノからコト」の消費にシフトしています。モノの購入が減っても観光などの体験(コト)の消費の取り込みにビジネスの関心が移っています。外国人旅行者数自体は年々増え続けています。日本での体験が良い思い出となれば、再び日本にやってきます。リピータ増加により持続性の高いインバウンド消費が期待されています。
静かなブーム「越境EC」
インバウンド消費は日本国内を舞台とした外需でした。一方、「越境EC」は海外在住の人をターゲットとした外需の取り込みです。日経ヴェリタス12/17号『多彩な日本製、中国つかむ』によれば、経産省は2016年基準で5年後に2倍となり約2兆円となると試算しているとのことです。アマゾンジャパンの16年実績が1兆1747億円だったとのことで、市場規模は絶大です。
現地生産してネット販売しても同じでは?そんな思いもありますが、「日本企業から正規品を直接買える」という点が重視されているようです。
定番は花王やユニ・チャームの紙おむつでした。ただ、中国でインターネット通販が最も盛り上がる11/11の「独身の日」の商戦をみていると、美顔器が首位だったそうです。アリババ集団の「天猫国際」という越境ECサイトが有名のようです。
かつての中国人観光者の「爆買い」は家電やカメラなどの高級品が対象でしたが、関税が引き上げられた影響で、需要の中心は化粧品や日用品、食品などに移りつつあるといいます。一度気に入ってもらえれば繰り返し買ってもらえるだけに、帰国後の需要にどう応えられるかに業績が影響されます。
当記事では、4つのタイプに分けて越境ECを取り組み企業を紹介しています。
メーカーが自ら売る:
花王(おむつ「メリーズ」)、シーズHD(化粧品)、カルビー(シリアル「フルグラ」)、MTG(美顔ローラー)
小売り:
マツキヨHD(化粧品、シャンプー)、三越伊勢丹(化粧品や衣類の他、伝統工芸品)、クルーズ(衣料品)
販売や決済を支援:
ラクーン(中小企業の越境ECを支援)、アドウェイズ(売り筋分析、配送代行)、BEENOS(日本通販サイトで購入した商品を海外に転送、海外未対応サイトの翻訳や物流代行)、インアゴーラ(越境ECのプラットフォーム運営、伊藤忠やKDDI出資)
物流を軸にインフラを提供:
日本通運(アリババ集団と提携)、ヤマトHD(京東集団と提携)、ANAHD(国際物流施設を集約し効率化)
物流業界にまで期待が及んでいます。独身の日に合わせて物流をコントロールするのはなかなかノウハウがいるのだと当記事を読んで感じました。また、中国の規制の流れに合わせて機敏に動く必要もあり、一筋縄にはいかないビジネスのようです。
まとめ
2017年秋の日経TESTで上位2%スコアであった私ですが、マーケティングでは苦しみました。あらたな投資の芽にも注目していきたいと思い、今回の記事を書きました。確定拠出年金の毎日スイッチングのパフォーマンスにも良い影響を与えるとおもっています。