昨年来のドル安トレンドに「待った」が掛かっています。
25通貨が対象の日経通貨インデックスは、先週のドルは1.61%上昇で他通貨を抑えてトップです。
積み上がるユーロ先物建て玉
足元でユーロドルは1.197。4月後半から急降下。1.2を下回るのは1月以来です。
IMM通貨先物のユーロ買い玉は15万枚まで膨れ上がり過去最高水準です。
ユーロ・ロングが膨らむ流れは1年前ほどからです。ポピュリズムの波や仏大統領選の動向でやきもきした昨年4月〜5月頃からこのトレンドははじまっています。政治不安が高まる中、ヒョロヒョロとユーロ高が続きました。
こうしたBoolmbergの記事など、欧州の景況感回復が目に付くようになり、ECBの金融緩和出口が話題になりはじめました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-07-03/OSICAG6TTDS001
景況感の改善でユーロ先建て玉は積み上がりました。でも逆も真なり。ユーロ建て玉が積み上がったからユーロ高を誘発し、欧州の景況感がよく見えていた、とも言えそうです。
実際、米大型減税による米財政悪化懸念がドル安を生んだ側面も指摘され、否応がなしにユーロは押し上げられた感も否めません。
英ポンドに連れ立ってユーロ下落の感も
対ドルでのポンドも4月後半に急落です。ユーロはポンドに連れ立って下落した側面も強いです。
日経ヴェリタス4/29号『英ポンド、シャイアーが下支え』によれば、イングランド銀行カーニー総裁の発言で5/10金融政策委での利上げが怪しくなってきました。17日には約1年10ヶ月ぶり高値の1.43ドル台後半であったポンドは、20日には1.40割れまで売り込まれました。
物価上昇が2%を超える状態が続き約40年ぶり低水準の失業率とのことで、インフレ懸念から利上げが既定路線でした。当記事によれば英EU離脱に伴うマイナス面がポンド下落に影響したようです。
なお、実現すれば日本史上最高額となる武田によるシャイアー買収はポンド買い圧力となっています。買収交渉期限は5/8。日本企業1社の要因もあって、直近のポンド下落は緩和されました。
まとめ
米10年債利回りは3%をノックオンしました。利回り改善でドル高です。ただこうして見てきたようにユーロ先物の動向や英国の状況から、やむなくドル高という側面もありそうです。
ドル高トレンドが続けば、米国への資金流入から東南アジアなどの新興国には打撃となり、マーケットの見え方も変わってきます。
「セル・イン・メイ」が頭を霞む今日この頃です。好決算続出の業績相場で上昇期待が高まっているものの、確定拠出年金スイッチングは5月も慎重に進めたいと思います。