2020年度までに、「国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマー・バランス=PB)を黒字化」を国際公約として安倍政権は掲げてきました。
6/9の『骨太方針』で、公約に待ったをかける兆しが現れました。
PBとは、「国と地方が実効する施策は、借金に頼らずその年の税収の範囲でやろう」ということだと理解しています。
お金が無ければ、やりたいことをガマンしようという発想です。
少子高齢化に伴い社会保障費は年々増加の一途です。実態がどうであれ、安倍政権下では年間5000億円増に抑制することとなっています。こうした我慢です。
PB黒字化を、世界がどれぐらい注視しているかはよくわかりません。しかし、目標達成に暗雲が広がる中、日本政府は目標を堅持しています。
何が根拠に達成できるか明確に提示されていない以上、ハタからみる国民目線では不安でしかありません。
日本は世界一の借金を抱える国です。GDP比で200%を超えます。2位はギリシャ。「ギリシャ危機」でお騒がせの国より、はるかに借金を抱えています。
実は、今年の骨太方針では、「GDPと借金との比率の抑制(債務残高対GDP比)を安定的に引き下げる」目標を強調するようになりました。
これまでの骨太方針では、まずPB黒字化し「その後」に債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すとしてきました。しかし、今年は「同時に」に変わっています。
「その後」から「同時に」。たった3文字の変更ですが、債務残高対GDP比を当面の目標に引き上げることで、PB黒字化のトーンを下げました。
「経済再生なくして財政健全化なし」の方針です。
「まず豊かになってから借金を返していこう」という発想です。
経済再生と財政健全化のどちらを優先すべきかは、正直よくわかりません。
本日6/17日経新聞のコラム『大機・小機』では、『財政目標「変更」4つの疑問』と題した記事は、経済再生に批判的です。
4つの疑問とは、
1長期金利と経済成長率は中期的にはほぼ同じ動きをするので、債務残高対GDP比は改善しない。
2.PB赤字のもとでは、税収を上回る政策経費が生じ債務残高対GDP比の悪化が懸念されるので、やはりPB黒字化の達成を先にはじめなければならない。
3.建設公債での公共投資は、一時的にGDPを押し上げても債務残高を確実に増加させる。
4.債務残高対GDP比の低下という目標では、毎年の予算編成のよりどころがなくなり、財政規律は低下してしまう。
といった主旨でした。
一方で、日本は世界一の債権国。金貸屋が借金を膨らましても許されるわけです。ギリシャと同じ目線では語れない。ドイツのように、財政規律を重視するあまり、他のEU諸国との足並みを乱し冷ややかな目でみられる国もあります。
ギリシャがこれだけ苦しむのも、ドイツが自国の財政規律の倫理を押し付けにより、借金をさせないことも大きな要因だとおもいます。
ギリシャへの融資は、ドイツ主導のユーロ圏と国際通貨基金(IMF)の間で対立が深まっていました。IMFは、ユーロ圏に対して債務軽減が明確になるのを待って融資に参加するとの立場でした。6/15になって漸くユーロ圏とIMFの間で妥協案が成立し、今年の「ギリシャ危機」は凌げたのです。
私は、確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のスイッチングを毎日行っています。
日々のスイッチングを通じて、長期的な先行きにも気を配っていきます。