同日に約定する売買(スイッチング)を繰り返すことで、元本を痛めず取得価額をコントロールする術を述べてきました。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)は、売買手数料がかかる手数料がかかる商品が少なく、また掛かったとしても証券口座で株式を購入するよりは手数料が安くなります。
また、売買益には税金がかからないことになっています。
確定拠出年金にくらべ、株式投資は運用コストがかかることから、これまで述べてきた同日約定売買のメリットは活かしづらいです。
また、株式投資の世界では、デイトレーダーのように、現物取引を繰り返し売買すると「差金決済」に抵触することがあります。
現物が引き渡される前に、売買で得た利益を再投資できません。1日に何度売買しても、取引時間帯終了時に一括して決済されます。
ネット証券のサイトで売買していれば、差金決済になる可能性があればアラートが発生する仕組みになっているので、知らないうちに差金決済をしていたなんてことはまず起きません。
アラートを無視して取引すれば、取引時間帯終了時に決済されず売買が成立しません。
このように、株式投資で同日約定売買する際には、手数料・税金のコストや差金決済を気にする必要があります。
さらには、「相場操縦行為」の危険性を、知識としては知っておいたほうが良いでしょう。
相場操縦行為は、金融商品取引法の159条に定められた違法行為です。
取引が繁盛に行われていると他人に誤解させる目的で行う売買です。
総資産が少ない個別銘柄を、あたなが大量に売買すると相場に影響を与えます。
大量の売買は、やり方によっては法律に抵触するのです。
たとえば、仲間同士で売買を繰り返し、第三者が頻繁だとみせかける「仮装売買」です。
上昇する相場をみて第三者が買い進んだのち、仲間同士で売買を解消して莫大な利益を得るのです。
あるいは、ウソの情報を流布して相場に影響を与えるのも相場操縦行為にあたります。
現在、東証の取引の大部分は、「超高速取引」(High frequency trading=HFT)だと云われています。
コンピュータによる自動売買が、人手による売買を圧倒しています。
相場操縦まがいの超高速取引に、われわれは翻弄されています。
日本取引所グループ(JPX)は、この2月には、売買審査に人工知能(AI)を活用すると発表しています。
相場操縦を犯してしまう危険性は、知っておく必要はありますが、
同時に、私たちは相場操縦まがいの取引に翻弄されている実情を知っておくことも大切です。