同日に約定する売買を実際にやろうとすると、一つの疑問が沸くはずです。
帳簿を付けようとすると、「あれ?」となります。
買いが先か、売りが先か?
同日約定売買であっても、買いと売りには順序があります。
保有資産に買った分を足しこんでから売るのか、またはその逆であるのか。
現在、6口を平均取得価額600円で保有していたとします。
取得価額3,600円の状態です。
買いと売りを3口発注しました。300円で約定しました。
このような例を考えてみましょう。
まず、買いが先とした計算結果です。
買った口数分を足しこんだ時点で口数は9口となります。
この段階では、
取得価額=6口×600円+3口×300円=4,500円
平均取得価額=4,500円÷9口=500円
となります。
その後に3口売ると、初期状態である6口に戻ります。
取得価額=4,500円×6口/9口=3,000円
平均取得価額=500円
です。平均取得価額は売っても変わりません。
次に、売りが先とした計算結果です。
3口売ることで口数は3口となります。
取得価額=3,600円×3口/6口=1,800円
平均取得価額=600円
です。
3口買って6口に戻します。
取得価額=600円×3口+300円×3口=2,700円
平均取得価額=2,700円÷6口=450円
結果が違いますね。
取得価額は、買いが先だと3,000円であるのに対し、売りが先だと2,700円となります。
平均取得価額についても、500円に対して450円です。
「ああそうですね」では、世の中は成り立ちません。
法律で決まっています。
所得税法にある「総平均法に準ずる方法」により算出するとさだめられているのです。
正解は、「買いが先です」
同日約定売買後に、取得価額が3,000円、平均取得価額が500円が正解です。