日経新聞では毎年5月中旬に、「上場企業の○○○○年3月期決算がほぼ出そろい、…」ではじまる記事が出ます。
「上場企業の主要業種別の連結業績」という定型フォーマットにのっとった大きな表が掲載される記事です。3月期決算企業の過去1年の実績と今後1年の予想が一瞥できる業績表です。
渡部清二先生の『日経新聞 マジ読み 投資術』(2018年:総合法令株式会社)では、
日経がまとめている情報の中でも特に重要なフローデータ
と、この業績表を高く評価しています。
かつて先生の日経新聞ワークショップで私も学びました。このブログを続ける糧となっています。ワークショップに参加した際にこの本をいただきました。なんと、先生のサイン入りw
今年は新型コロナで異例づくめです。6月になってようやく業績表の記事がでました。
日経新聞6/9『上場企業、9年ぶり赤字』です。
大した分析をできる能力はありませんが、ブログ記事にしておきます。
コロナで2021年3月期の予想は出ず
例年とは違い今期予想は出ていません。これまでは上段が前年実績で下段が今期予想となるのですが、上段が1~3月期実績で下段が通期実績となった業績表が出ています。3月期本決算の主要上昇企業1672社(新興市場などを除く)を集計しています。
東日本大震災が起きた2011年以来、四半期ベースでは9年振りの純利益(最終損益)の赤字です。通期では31%の減益です。
業績表は▲印ばかりです。。24業種のうち銀行を除けば医薬品のみが1~3月期は純利益の赤字です。
通期ベースの純利益は、非製造業が▲20.8%製造業が▲42.0%であり、製造業がより一層悪い結果となっています。新型コロナに加え米中貿易摩擦による海外市場の変調がダメージとなっているようです。2019年秋の消費増税も逆風となっています。
業種別では純利益の減益幅が大きい順に、自動車、通信、電機機器、…と続きます。当記事によれば、日産自動車の不振が目立ちます。
通信に属するソフトバンクGは1~3月期に1兆4381億円の最終赤字が出しているとも述べています。非製造業の四半期ベースの赤字は7,355億円なので、もしこの1社が赤字でなかったとしたら黒字であったわけです。この業績表は、個別企業の動向も把握して読み解く必要があります。
まとめ
例年だとこの業績表と解説記事を読むことであらたな発見がありました。昨年でいえば、消費増税が10月に控えているにも関わらず非製造業が増益見通しなんてことを知り驚きました。今年は新型コロナの影響があまりに大きすぎて、「悪い」としか感じられないのが正直なところです。
日経新聞6/9『今期は1割減益 落ち込み、上期に大きく』によれば、3月期決算企業のうち6/8時点で今期予想を開示しているのは全体の約4割とのことです。3月のショック後は昇り一辺倒であった日経平均株価は6/11、ついに大暴落のときがやってきました。652.04円安です。業績見通しが立たない中での株式相場の脆さにやはり警戒です。