流通時価総額を重視のTOPIX改革、ところでスマートベータへの熱気は?

東京証券取引所は、現行の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場の構成を変える大改革に乗り出そうとしています。世界の取引所間で競争が激化しています。海外のマネーを呼び込む魅力ある市場作りは急務となっています。東証1部に上場する2,000を超える銘柄で構成される株価指数TOPIXを、市場再編により魅力を高めることが改革の大きな柱となっています。




JPX日経400/スマートベータ

素人目には、TOPIXに変わる新しい株価指数を作ってしまえばいいじゃないかと考えてしまいます。でも、2014年に鳴り物入りで算出を開始したJPX日経インデックス400(略称:JPX日経400)は、TOPIXとほぼ変わらない動きです。日経平均株価との乖離は進むばかりです。

Kabutan

JPX日経400は、東京証券取引所(JPX)と日本経済新聞社が共同で開発した株価指数です。採用銘柄を決めるためのスコアリングは次の指標を用いています。
・3年平均ROE:40%
・3年累積営業利益:40%
・選定基準日時点における時価総額:20%

時価総額よりも、自己資本利益率(ROE)と営業利益を重視しています。スマートベータ指数(利益や営業キャッシュフロー、純資産など財務諸表に登場する指標を重視する指数)として、JPX日経400は認知度が高まりました。

いまや160兆円規模の公的年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2014年よりJPX日経400を採用した運用を始めました。

流動時価総額を重視のTOPIX改革

金融庁は12/24、東京証券取引所の市場改革に関する報告書案を公表しました。日経新聞『東証、3市場に集約』によれば、「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3区分(それぞれ仮称)に変わります。「流通時価総額」がキーワードです。市場に流通していて投資家が売買可能な時価総額を基準にすべきだとしています。

現在の1部に相当する「プライム」には流通時価総額が100億円以上が必要との基準を示しています。4月末時点で流通時価総額が100億円を下回る1部上場企業数は301社で全体の14%に相当するとのことです。

(ただ、基準の適用は新規上場が対象で301社は希望すればプライム市場に残留できるという中途半端な改革のようです)

 

現在、金融緩和の施策として年間6兆円規模でETF(上場投資信託)を日銀は購入しています。

日経平均やJPX日経400、TOPIXに連動したETFを購入しています。日経新聞12/25『TOPIX改革 日銀緩和に波紋』によれば、緩和効果を幅広く行き渡らせるため、TOPIX連動型ETFの購入割合を増やしてきました。日銀は、銘柄を絞り込もうとする東証の改革とはそもそも逆行する施策をとってきました。

JPX日経400、どうなっちゃたんだぁ。。それを重視する動きは日銀からもみえません。

 

まとめ

もし、JPX日経400が日経平均株価を上回るパフォーマンスを出しているなら、東証が改革に乗り出すなんて話は浮上しなかったのかもしれません。2014年頃のスマートベータへの熱気はすっかり冷めてしまったようです。

「スマートベータ」であれ「流通時価総額」であれ、そのときどきで最もらしく語られます。話題性に振り回されないようにしたいとおもいます。