大型減税を公約に大統領となったトランプ氏。公約の15%とはなりませんでしたが、共和党は20%への減税案を11/2公表しました。
世界的に高水準の35%もあった法人税でしたので公約通りでなくてもインパクトは絶大です。20%といえば日本やドイツよりも低い水準となります。
レーガン政権以来30年ぶりの税制改革が現実味を帯びてきました。国際的な法人税引き下げ競争に拍車をかけ、世界のマネーの動きに変化を与えそうです。
アメリカ・ファースト
日経新聞11/3『米法人税20%に恒久化』によれば、11月下旬に下院、12月中旬に上院での可決し年内の成立が見込まれています。財政悪化を避けるため5年程度かけて段階的に下げる案もあったが、初年度に一気に減税する案となりました。
海外で溜め込まれた資金を引き戻し、米国内での投資と雇用を促す狙いがあります。まさに、アメリカ・ファーストです。当記事によれば、海外資金の還流として、3つの施策が盛り込まれています。
・米企業の海外子会社が米国内に資金を戻す際にかかっていた税率35%(海外での納税分を除く)を、5~12%に引き下げます。
・グローバル企業に海外課税制度をあらたに設けます。国際事業の比率が一定レベルを超えた企業に海外で稼いだ収益に10%を課税するとのことです。
・租税回避地(タックスヘブン)などへの資金移転防止策です。米国外に本社を置く企業が米国で稼いだ資金を海外に持ち出す際に最大20%を課税する案が浮かんでいるとのことです。
富裕層向けの対策は
当記事によれば、個人税制では所得税の最高税率の引き下げは見送られています。9月の基本計画では最高税率を35%に引き下げるとの意向でしたが、富裕層優遇との批判が出ているようです。
この記事では出ていませんが、9月の基本計画公表以来取りざたされているのが、「パススルー課税」の引き下げ。10/29号日経ヴェリタス『「勝ち馬に乗れ」投資家走る』によれば、お金を持った人が形ばかりの法人を作った場合に、作った人への所得税(パススルー課税)が39.6%から25%に減税されるといいます。富裕層に抜け道を用意するパススルー課税引き下げは、批判の火種となりそうです。
まとめ
日本株式市場は、9月末の衆院解散以来、選挙後も継続して好調をキープしています。その背景には、米国株式市場が史上最高値を更新し続ける状況がありました。
米国株式市場が元気なのは、大型減税の期待が持続していることにありました。共和党案が出て現実味が増しました。米国市場にはさらなる追い風ですが、新興国市場では海外資金の還流がネガティブに受け止められる方向となるかもしれません。新興国市場での警戒感が高まれば、日本市場に連鎖するはずです。アメリカ・ファーストに揺さぶられそうです。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のスイッチングを毎日続けながら、米国大型減税案の行方は追っていきたいと思っています。