日英外相会談が先週金曜日7/21に東京都内で行われました。
岸田外相は、EU離脱にともなう日系企業の影響を最小限にとどめてほしいと英ジョンソン外相に強く訴えました。
昨年2016/9月には、日本企業にヒアリングをした結果取りまとめたとされる要望書『英国のEU離脱に関する政府タスクフォース』を日本政府は突如しました。
意表を突いた日本からの物言いに、英国では戸惑いの報道がみられました。要望書では「予見可能」なEU離脱交渉であってほしいと述べています。
EU離脱は決まったのだから致し方ないとしても、予見可能な交渉プロセスを踏んでくれれば対策が打てるのでダメージが少ない。
7/23日経新聞にジョンソン外相へのインタビュー記事に紙面を割いています。『英、事業環境維持に配慮』と『英教皇離脱 崩さず』が掲載されています。
ジョンソン氏といえば、昨年6月の国民投票でEU離脱派を率いた張本人です。大学の後輩でもあり盟友であったキャメロン前首相とたもとを分かち、離脱派に回りました。
どこか米トランプ大統領に似た顔だちです。過激な発言でも類似しています。投票直後は、キャメロン首相の後任と目されていた人物です。結局は出馬を辞退しました。離脱支持の勢力の中にも彼の政治手腕には疑問を持つ人達がいたようです。
日経のインタビューでは、「企業の不安を払拭するような具体的な政策は語らなかった」とのことです。ハード・ブレグジットの姿勢を変えていません。
ただ、英国の置かれた状況は厳しいです。6月の総選挙では、選挙表明時のメイ政権への高い支持率は瞬く間に下降し、過半数を維持できませんでした。EU離脱の強行路線は否定された格好です。
離脱交渉が本格化しています。離脱に伴う「清算金」が頭をもたげています。この問題の解決頃に通商交渉に入るという優先順位は、EU側は堅持しており英国が付け入るすきが見えてきません。
5月にフランスでは新鋭中道のマクロン氏が大統領となりました。その後6月の選挙でも彼が立ち上げた新政党が圧勝でした。ポピュリズムの台頭を封印したかたちで、大陸欧州はいくぶん元気を取り戻した感です。
清算金問題には、ジョンソン外相は「EUは諦めるしかない」と発言し波紋を呼んでいました。日経インタビューでは再三の質問にも言及を避けたそうです。
同日7/21日経新聞『4〜6月期英GDP速報値(26日)』によれば、政局の迷走の影響が実体経済にじわりと及んできたようです。
離脱決定の反動で生じたポンド安にともなうバブルはいつ転換してもおかしくない状況です。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)の運用の上でも、英国の動向は気がかりです。
それにしても、日英FTAが6/25報道されましたが、その後全くニュースになりません。日経新聞の誤報か、どこへやら。