利益確定:買いより売りが難しい3

売買には、何か悪いイメージが付きまといます。特に、「売り」には。

不労所得=悪といった考え方が世の中に蔓延っているからかもしれません。




たとえば、日本株式連動商品は、資産の裏付けとして、日経平均株価やTOPIXに採用された銘柄が購入されるわけです。銘柄とは、トヨタやソフトバンクといった企業が発行する株式です。

血がにじむ従業員の努力により企業は成り立っています。ろくに企業を知らない人間が、気軽に「売り」を出すことで、株価は下がり業績が悪化し、ついには従業員を苦しめてしまうのではないか。

「売り」に対して、その手の罪悪感を持つ人は少なからずいると思います。

 

積立投資には、企業を応援する心理がはたらき、肯定的に捉えることもできるでしょう。

同様に、売買という行為にも肯定的な見方が大事だと、私は考えます。

 

売買を肯定的の捉えるためのキーワードの一つが、「流動性」です。

 

日々の日経新聞の紙面は、「流動性の枯渇」の話題で彩られています。

現在、アベノミクスのもと、景気刺激策として日銀は大活躍です。国債発行残高の4割近くを日銀が保有しています。株式にしても、年間6兆円のペースで日銀は購入を続けています。大株主が日銀という企業が多発しています。

日銀が買い占めることで、株式も国債も価格は高値をキープできます。国債は、価格が高いとはつまり利回りが低いということ。国債の利回りが低いと、たとえば国債に連動して決まる住宅ローンの金利が低くなり、住宅を購入する人が増え、景気がよくなるというわけです。

 

ところが、日銀が買い占める弊害もあります。株式も国債の価格が、需要と供給の関係で決まるのではなく、日銀の影響により決まる害悪です。

管制相場、とも言われます。恣意的に上がりきってしまった価格は、日銀が売りをほのめかすだけで、急激に下落する危険性があります。買い占めにより、マーケットには株式も国債の絶対量が少ないわけですから、価格のアップダウンが激しくなります。

本来は、さまざまな投資主体が売買するため「流動性」があるはずなのに、日銀の独占が進むにつれ、ついには売買が止まったともいえる「流動性の枯渇」の状況に陥るのです。流動性の枯渇をいかに回避するのか、またはできるのか、日経新聞の紙面は賑わっているのです。

 

われわれは、畑の中のミミズのような存在かもしれません。

ミミズは見た目に気持ち悪いです。しかし、口から呑みこんだ土を尻から吐き出す推進力が、畑をフカフカな土壌に変えてくれる優れ者です。

地味な存在なのに、重要な役割を果たしている。

 

少しは、「売り」の罪悪感はなくなりましたか。

利益確定:買いより売りが難しい4




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