日本上場企業の配当性向は3割で横並びであると、しばしば槍玉に挙げられます。
配当を高くすると税金で持っていかれる分も増えるわけで、手放しで喜ぶわけには行きません。かの著名投資家バフェット氏は、株主還元なら配当より自社株買いを好むといわれます。バクシャーハザウェイが無配主義を貫くのは、株価に裏打ちされた成長性もさることながら、配当にかかる税金がもったいないとのバフェット氏の株主への想いもあるようです。
とはいえ、「投資していて良かったなぁ」と実感できるのが配当のメリット。配当で得た現金を消費に当てるにしても再投資に回すにしても、モチベーションを高めます。税金を受け取る国も含めて全体的に捉えれば経済の代謝が上がるわけで、配当性向が横並びの現状は批判されて然るべきとおもいます。
配当性向30%横並び、総額は過去最高13.5兆円
日経新聞7/14『配当性向 3割どまり』によれば、2017年度の上場企業の配当総額は13.5兆円で過去最高でした(2008年度から連続して比較できる上場企業を対象とした結果)。
総額は過去最高でも、配当性向は30.4%でむしろ前年度を4ポイント弱下回ったとのことです。記事に掲載のグラフによれば、アベノミクス下の2013年度以降、配当総額は増加傾向ですが配当性向は3割前後のままです。リーマンショックや東日本大震災で利益が落ち込んだときには4割に達していますが、配当性向3割は日本に定着した根強い考え方のようです。
海外企業での配当性向は、
・米主要500社が約47%
・欧州主要企業が49%
・アジア主要企業が36%
なんて数字が記事には並びます。
現貯金が資産に占める比率を日米それぞれの主要500社で比較すると、2007年度は日米とも6~7%であったのに対して、2017年度においては米国は変わらない水準で日本は11%に膨らんでいるとのことです。
日本企業の配当性向が上がらない理由として、
・保守的な財務運営
・低インフレが長引く日本では貨幣価値が目減りせず企業が現貯金を抱え込むことをとがめる圧力が小さい
・日本の個人株主は減配を嫌うため、企業が柔軟な配当政策を選びにくい
と記事では述べています。
まとめ
日本企業とグローバル企業の配当格差は、株価指数にも現れています。当記事によれば、S&P500とTOPIXの配当込み指数を比較すると、1999年比でS&P500が2.7倍に対してTOPIXが3割弱とのことです。
株式投資よりも確定拠出年金のインデックス投信に力を入れている私ですが、株価指数にまで影響するとなると配当性向の低さは他人事ではありません。