米国が牽引する図式に慣れっこになってますが、リーマンショックからの回復は日本の貢献があってこそ。米モルガン・スタンレーに三菱UFJフィナンシャル・グループは約9,000億円を投じて危機を救いました。
銀行株の低調が重荷になっている今年2018年です。リーマンショックが拍車をかけた大手銀行の海外資産の膨張傾向に慎重な見方が出てきてます。
3メガ銀が総資産を膨張の10年
日経ヴェリタス9/16号『3メガ銀に新たなリスクの芽』によれば、数字の上でもリーマンショックを足掛かりに海外への影響力を高めました。海外融資を、
三菱UFJFG:約19兆円→約45兆円
みずほFG:約11兆円→約22兆円
三井住友FG:約10兆円→約24兆円
といずれも2倍を超える伸びです。
3メガ銀の総資産は、当記事に掲載のグラフによれば2001年度末に約400兆円であった総資産は2018年度末に約700億円です。
2009年度末に、名目GDPを超えています。名目GDPはこの期間中、500兆円あたりをウロウロしています。日本国内での“稼ぎ”以上に大幅に貸している状況です。3メガ銀が総資産を伸ばしたのは海外融資の増加だと、グラフからも読み取れます。
「1990年代後半の金融危機を経て財務体質の健全化を進め、体力が十分にあった日本の3メガバンクにとっては、海外展開を拡大するきっかけとなった」と当記事は述べています。
三菱UFJFGがタイ・アユタヤ銀行の買収するなど、3メガ銀は海外M&Aを積極的に推進してきました。
大手銀の海外展開拡大に伴い、日本企業の海外進出も加速しています。リーマンショックを契機に、海外で稼ぐ力が高まりました。
低金利でやむおえずの面も
海外展開はやむおえずの面もありました。日銀のマイナス金利政策で、国債利回りが確保できないどころか手数料を取られる状況となったので、海外にマネーを振り向けざるえませんでした。
当記事は、総資産拡大の7割は貯金増による押し上げ効果だったとも述べています。日本企業の「ため込み志向」が貯金増加させました。貯金の運用のため海外融資が膨張した側面もあるようです。
まとめ
アイスランドでは、国内3大銀の総資産がGDPの10倍を上回りIMFの支援要請に追い込まれた過去や、ドイツ銀の米国での投資業務の失敗と、海外市場への拡大の負の側面も当記事では述べています。
リーマンショックを契機に大幅に海外資産が増幅し、パワーバランスが変わりました。いかにコントロールできるかに今後はかかっています。