昨年2018年は、米国が仕掛けた貿易摩擦に端を発して保護主義の波が押し寄せました。
国際通貨基金(IMF)は同10月、2019年の世界貿易量の伸び率を3.7%増とし、前回予測より0.2ポイント下方修正しました。世界の株式市場にとっては大打撃です。日経新聞12/29『緩和相場が終焉 1年で市場一変』によれば、年初に85兆ドル(約9400兆円)あった世界の株式時価総額は67兆ドル(7500兆円)と2割を失いました。日経平均株価も年間で12%下落しました。
悲観するばかりです。。
そんな中にあっては、TPP11(環太平洋経済連携協定)が昨年12/30発効にこぎつけたのは明るい兆しです。欧州とのEPA(経済連携協定)も今年2/1に発効を控えています。
TPP11・欧州EPA
日経新聞12/30『米中横目に巨大貿易圏』によれば、TPP11と欧州EPAを合わせた経済圏は世界のGDP(国内総生産)の4割弱を占める規模になるとのことです。世界のGDPの内訳が当記事では円グラフで掲載されています。
TPP11:13.2%(うち日本6.1%)
EU:21.7%
米国:24.3%
中国:15.0%
※TPP11:日本、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ
米国も中国をも上回る規模の経済圏が出現することになります。TPP11にはタイやインドネシア、英国も参加を検討しており、この経済圏の拡大が見込まれています。
政府は日本のGDPの押し上げ効果を、TPP11で約7.8兆円、欧州EPAで約5.2兆円と試算しているとのことです。
米国との物品貿易協定(TAG)
昨年の夏場から、米国との貿易交渉では「TAG」なる用語が現れています。Trade Agreement on goodsの略称です。米国が2国間協定を迫ってくるので、日本側がムリクリ作り出した用語です。FTA(自由貿易協定)とは違いモノに限定した協定を意味するようです。米国側はFTAの妥結を目指していて、日米双方に用語のレベルで溝があります。
この日米交渉は、TPP11と欧州EPAで認めた水準での妥結を狙うだろうと当記事ではみています。
まとめ
TPP11は、当記事によれば1年目だけで輸入にかかる関税が約10億ドル減ると試算されています。目に見えるかたちで早期に効果が出て、保護主義に対抗する新たな潮流となればとおもいます。