東証1部上場企業数は増え続けています。1/8時点で2,129社です。2部とジャスダック、マザーズを合わせれば3,625社なので、上場企業の約6割が1部上場企業となります。1部上場の「ありがたみ」が徐々に薄らいでいます。
東証1部の上場企業数の削減をゼロベースで見直すとの議論がにわかに活気付いています。
12/20日経新聞『東証、「1部」企業を削減へ 優良企業を削減へ』によれば、上場を維持できる時価総額の基準を引き上げるとか、他の市場から昇格する条件を厳しくしようとしています。
東証は「市場構造のあり方等に関する懇談会」を設けて、11月から議論しており、この春をメドに報告書としてまとめる方針とのことです。
TOPIXのパフォーマンス悪化を実感する日々
東証1部全銘柄で構成されるTOPIX(東証株価指数)は、225銘柄で構成される日経平均株価に比べてパフォーマンスが昨年5月頃より悪化しています。
日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は、長らく「12.5」と覚えておけば良かったです。普段目にするニュースは日経平均に絡んだものが圧倒的に多いです。日経平均をみているだけでもTOPIXは12.5で割った値だと認識していれば十分でした。私の確定拠出年金の国内株投信はTOPIXをインデックスとしているのですが、日経平均をみて相場観を掴んでおけば問題なかったです。
でも昨年5月頃よりNT倍率は上がり13台が定着しています。10月からの下落相場では、日経平均が下がってショックを受ける日が多いですが、TOPIXがさらに下げがキツイくて二重にダメージを負うことが頻繁です。。
東証1部企業の削減の議論は、こんな世相感も追い風に注目度が上がっているように感じます。
日本の上場企業の平均寿命は89年
上場企業の増加は発展の証しだと思っていました。でも、日経新聞11/18『小粒になった日本企業』では、新陳代謝が鈍いことにも繋がりネガティヴです。
当記事によれば、ニューヨーク証券取引所の上場企業数は2017年(期中平均)は約2,300社で前年より約60社減少しています。約8割がM&A(合併・買収)によるものとのことです。
一方で、1社あたりの時価総額では2000末より2.6倍の増加で、日本証券取引所の1.7倍を上回っています。平均寿命(上場期間の平均)でみると、NY証券取引所が15年、ロンドン証券取引所が9年に対して、日本証券取引所が89年との数字が当記事には出てきます。
「企業存続を目的とする経営者が多い」ことが背景にあるとの識者の見解を当記事では示しています。ただ、多角化すると業績が不透明になるので、コングロマリット・ディスカウント(多角化ディスカウント)が生じて株価の評価は下がります。
サラリーマンのジレンマ
一介のサラリーマンである私は、「企業存続を目的とする経営者が多い」をネガティヴに語られると、我が身にふりかかるリストラへの不安がよぎります。一方で、確定拠出年金や株式投資に精を出す個人投資家としては、日本株のパフォーマンスの悪さに憤りも感じます。
そんなジレンマを抱える人は決して少なくなはずです。1/10日経新聞のコラム大機小機での『多角化の功罪』は日本企業のあり方をポジティブに捉えて新鮮な論点でした。
日本企業は長期的に存続するために、事業の多角化を進める傾向が強いようです。「多角化するなら、投資家に還元せよ」との考えをもつ投資家が米国には多いようで、新陳代謝を高める原動力になっているように思いました。
「細く長く稼ぐ日本型と、太く短く稼ぐ米国型でどちらがより多くの累積利益を生み出すか比較するのは容易ではない」と述べ、足元の数字だけ見ていると間違えてしまうと当コラムは警告を発しています。
まとめ
日本株のパフォーマンスの悪さは、大機小機のコラムを読むと日本企業が抱え込む構造的な特性からくるもので、決して悪いことばかりではありません。日本株のことは機関投資家に任せて、私のようなサラリーマン個人投資家は海外株の投資に精を出せばこのジレンマが緩和できると、ごく単純には感じました。