新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大しているとして、4/7に政府は7都府県に対して非常事態宣言を発令しました。
首相の会見では「接触機会を最低7割、極力8割削減」と協力を呼びかけました。宣言の翌日は、ツイッターで「電車」をキーワードに検索してみてると駅構内を行きかう人達や満員電車の写真を目にして、なかなかに厳しい状況です。この困難のなか医療関係者をはじめ対面で働く方など、やむなく乗車している方も多数だとはおもいますが、宣言が出たからには効力を願うばかりです。
基本再生産数R0
会見の中では「(現状の)5日で2倍のペースで感染拡大が続けば、2週間後に1万人、1ヵ月後に8万人を超える」と述べています。接触機会を極力8割削減できれば、2週間後には感染者の増加がピークアウトし減少に転じさせることができるとの見解でした。8割減少の理由を、北海道大学の西浦先生がツイッターで解説しています。
【接触が8割減った社会のイメージ】
北海道大学 西浦 博より解説します。
流行前の生活・社会を機能させつつ、どのようにして接触の8割減を達成できるか、皆で考えていきましょう。#新型コロナクラスター対策ゼミ pic.twitter.com/vQatrbkiYr
— 新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) April 7, 2020
この中で出てくるのが基本再生産数R0です。一人が生み出す二次感染者数の平均値を示す数値です。ドイツでは2.5と現状では推定されるようです。
行動抑制を6割まで下げられると一人が生み出す二次感染者数の平均(実効再生産数)が1.0を下回り感染が抑えられるとのことです。夜の街などでの阻止が難しいことから8割が掲げられたようです。
株式投資では
株式投資では、生み出した利益を再投資することで利益が増殖します。配当のかたちで株主に還元され再投資することによる効果と、企業が内部留保した利益を設備投資などを通じて増殖する効果によります。いわゆる複利効果です。複利の循環がよい銘柄には市場からの資金も集まり株価は上昇します。
複利効果は通常、年率に換算した「利回り」で評価されます。
株式投資でよくいわれる利回りは5%です。なにげに貯金している状態に比べ相場のリスクを背負っている対価(リスクプレミアム)です。
私は確定拠出年金を通じて株式投資をしていますが、その利回り(確定拠出年金でいうところの「初回入金来運用利回り」)はおよそ3~5%で推移しています。2005年に確定給付年金から移行し初回入金されて以来、毎月勤め先から掛金が振り込まれます。3年ほど前から毎日記録を付けるようにしていますが、このブログのタイトルにある「毎日スイッチング」をしてなにかと工夫はしているものの利回りに大きな変化はありません。新型コロナで相場が大混乱にあった3月前半は2%台に沈みましたが現状は3%台に回復しています。ただ、5%には2018年の秋以来もどっていません。
私にとっては5%を安定的に維持することが目標です。
さて、新型コロナの感染拡大で知ることとなった基本再生産数R0に置き換えると、株式の利回り5%は1.05です。
上述のドイツでの2.5と比べるとかなり低いです。
さらには時間軸を踏まえると株式における基本再生産数R0は極めて低いことがわかります。
新型コロナは潜伏期間内は2週間程度といわれます。人から人への感染はこの期間になされます(実際には5~6日で移るとの報道をよく目にします)。
一方、株式での利回りは前述のとおり年間で評価されます。再生産の間隔を2週間と控え目に捉えても、株式の基本再生産数R0は1.002です(=1+0.05*14/365)。
新型コロナの感染拡大に比べれば株式投資はリスクは微々たるものです!
5%の利回りで元金が2倍となるにはおよそ15年もの年月がかかります。
逆説的には、新型コロナの基本再生産数R0の議論がいかに過激で、医療崩壊に直面する重大な危機であることを痛感します。
なお、株式投資には新型コロナと違いマイナスがあります。短期的には極めてローリスクでも長年のうちに損失が膨らむことはあります。投資先の選別には注意が必要です。
まとめ
新型コロナの感染拡大にともなう惨事を、つい株式投資の暴落にも当てはめて見てしまいがちです。
実際には4月に入り株式市場は回復基調です。NYダウは早くも暴落前の半値まで戻しています。もちろん今後はあらたな下落の場面で苦しむとはおもいますが、新型コロナの感染拡大の推移と株式相場の動きは一致しません。
こんな状況でも地道に確定拠出年金の運用をつづけていきたいとおもいます。