あらたな手口?米中摩擦、TikTok問題をマイクロソフトが火消しへ

輸入品への追加関税の掛け合いでくすぶってきた米中摩擦は、1/15に「第1段階の合意」に至りました。

その後の新型コロナ感染拡大で貿易量が減り合意通りに履行するのは難しい状況ですが、だからといって貿易問題自体が焦点になることはめっきり減りました。

 

米国では11月に大統領選が迫り、支持率で民主党・バイデン氏に差を広げられている共和党・トランプ大統領は、米中摩擦で注目を集めようとしています。

ZTEやファーウェイなど中国系企業への締め付けはかわらず強行してますが、加えてあらたな手口でしょうか?排除から協力強制の手口へ。自国企業を使った駆け引きが露骨です。

 

TikTok問題をマイクロソフトが火消しへ

中国発の動画投稿アプリTikTokは世界的に普及しています。当アプリが持つ膨大な個人情報が中国当局に流出するリスクが懸念されています。やはり中国との対立が激化するインドでは6月に使用を禁止しました。
それに追随するかたちで7/31にトランプ大統領が利用の禁止を検討すると表明しました。




 

8/2にはムニューシン米財務長官がTikTokの米国事業の売却を迫りました(日経新聞8/3『米財務長官「存続させず」』)。

売却を促すからにはそのストーリーも用意されていました。日経新聞8/4『米政権、売却へ「45日間猶予」』によれば、米財務長官の発言と同じ8/2に、マイクロソフトのナデラCEOがトランプ大統領と買収を議論したことを明らかにし、「大統領の懸念に対応することの重要性を認識している」と説明しています。

9/15を期限とした45日間の交渉の猶予を与えられたとのことです。マイクロソフトが積極的に乗った話にはみえてきません。

反トラスト法(独占禁止法)違反の疑惑をめぐり、7/29、米IT大手GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)は米国議会の公聴会に呼び出され質問を受けました。

マイクロソフトはこれまでトランプ政権の批判を免れてきました。比較的穏健な関係にあったマイクロソフトにTikTok問題解決への白羽の矢が立った格好です。

 

トランプ大統領はその後も云いたい放題です。売却益を米政府に納付するよう求めています。

 

まとめ

米中摩擦は制裁関税合戦を繰り広げていた頃とは違い、政府間のツバ競り合いだとのんびり傍観できなくなっています。排除される側なにか協力を要請される側なのか。一企業が中立を保つのがますます難しくなってきています。