昨夜8/16のNYダウは306.62ドルの大幅上昇でした。2日前の800.49ドルの暴落の後だけに大きくリバウンドしても不思議ではありません。
ドイツの噂話
ところが、米株価指数がドイツ発の材料で動いたということで、あまりみられない新鮮な感触です。いつもみているロイター社の『NY市場サマリー』は8/17付で、「ドイツの連立政権が、景気後退に陥った際に備え財政均衡ルールを撤廃し、新たな借り入れを行う用意を整える」と伝えています。出所はシュピーゲル誌というドイツのメディアとのことです。
じゃあシュピーゲル誌はウラを取っているのかというと、ブルムバーグ社8/17『ドイツは債務増加いとわず、リセッション入りなら-シュピーゲル誌』によれば、首相府や財務省の関係者の話であるが関係者らの名前は明かしていないとのことで極めてあいまいです。
均衡財政の緩和、噂の予兆
実は日経新聞に数日前に噂の予兆が出ていました。8/15付『ドイツ失速、欧州経済に影 財政出動求める声も 4~6月GDP0.1%減 3四半期ぶりマイナス成長』は、中を読んでみるとわかるのですが、タイトルにある「財政出動求める声」は”欧州中央銀行(ECB)などで出ている”、”観測”と述べているだけで声の主が現れていません。いい加減な記事だ、、と感じていた矢先にNYダウの大幅上昇につながる噂話にまで発展していました。
当記事によればドイツは製造業を柱にGDPの47%を輸出に依存し、フランスの31%、日本の18%より高いです。中国景気減速の影響を受けやすい体質です。EU域内GDPの2割超を占めるドイツの失速が欧州全体への影響が懸念されます。
ドイツは戦前のハイパーインフレの経験から財政の健全性を重視してきました。憲法で均衡財政を原則として義務付けています。
財政の健全性を守るために輸出主導で他国を圧迫する体質は、批難の的となってきました。均衡財政の緩和に踏み切るのだとすれば、たしかに世界的にインパクトのある話です。
まとめ
ドイツはドイツ銀行という時限爆弾を抱えています。日経新聞7/9『転落ドイツ銀、再建へ難路 1.8万人削減/投資銀部門の資産分離 欧州回帰も競争激しく』によればドイツ銀の株価は10年で10分の1です。ドイツ銀行が破たんともなれば、リーマンショック級の危機です。メルケル独首相の連立政権はすっかり求心力を失ってしまってます。
ドイツが譲歩を迫られそうな状況は続きそうです。