米ナスダックの勢いが6月の米利上げに前後して一旦停滞しました。世界のマーケットを牽引してきたハイテク・IoT株の行く末を気にかけ騒つきました。しかし7月になって勢いを取り戻しつつあります。
ハイテク・IoT株には、少なくと3つの追い風が吹いています。
1.中国
中国は、労働集約型から機械化への転換を加速させています。社会主義的なやり方では10億を超える民は、富める前に貧しくなるかも。そんな切迫感があります。中国の機械化、AI化(人工知能)が需要を作ってきました。今年2017年秋に、共産党党大会が開催されます。党人事が大幅に入れ替わる大事な節目です。
大会開催までは現状の経済状態をキープしたいと中国上層部は考えていると、マーケットはみています。つまり機械化推進に伴う需要は少なくとも秋までは続くとの楽観が追い風です。
2.ハード
情報技術と機械を結ぶテクノロジー。IoTという言葉は、普遍性を漂わす一般用語になりつつあります。IoTの概念が、世界の需要を創出してきました。
iphoneは今年誕生10周年です。節目の今年は、新モデルを3種リリースされる予定です。
スマホは日本でも新興国でも、もはや日常生活で必須のアイテムです。販売の伸びが加速する期待をマーケットは持っていません。量から質に眼を向けています。
ガラケイに比べスマホは圧倒的に部品数が多い。消費者が所有するハイテク機器類が増えなくても、中に入っている部品数が増えるので、加えて自動運転技術などの新テクノロジーの発展が期待されています。やはり多くの部品を必要とします。ハードメーカーにとって追い風です。
3.ソフト
FAANGと呼ばれるハイテク大手5社の時価総額は、英国のGDPを上回るまでになりました(日経新聞7/14『ニュー・モノポリー 米ITビッグ5(下)』)。大手5社が牽引してくれているという点で、ソフトウェアを含めた業界全体にとっては追い風です。
FAANGは、技術というよりブランド力で勝負しています。その一角アップルは、スティーブ・ジョブズが生きた時代は新技術で驚かし外した技術に泣く会社でした。ところが今では、技術のギャンブルに賭けるというよりは、蓄積してきたブランド力で確実に稼ぐ会社に変わりました。
iPoneを購入したユーザーは他社に乗り換えたくなりません。価格競争でシェアの奪い合いを繰り広げてきましたが、高額価格帯のiPoneの勢いは衰えません。ブランド力です。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏がアップル株への出資を始めた辺りから見方が大きく変わりました。彼はローテク好みで名を馳せた投資家です。ハイテクIBMに手を出して痛い思いをしているはずです。この彼がハイテクに再挑戦とあって話題となりました。
アップルは、もはや新技術を生み出す会社ではない。だが圧倒的なブランド力でユーザーは離れていかないし、iPoneを基盤に動くコンテンツから収益が確実に得られる。収益が設備投資や自社株買いに周り、株主は複利効果の恩恵を受けます。
ただ、寡占化にともなう問題は突如として紛糾しかねません。
ハイテク・IoT株の動きが止まりました。追い風がリスクに変わる兆しなのかもしれません。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のスイッチングの上でも、動向を気にしています。