昨年の今頃は、激化する米中貿易摩擦で「第1段階」合意が発表されさらなる制裁関税の追加は回避されました。その後は新型コロナの発生も合わさって両国の対立はさらに深まっていきます。
この11月には大統領選でトランプ氏が敗退しましたが、バイデン大統領に変わっても対中政策では強硬のままとの見方が優勢です。
米国はファーウエイへの半導体供給を遮断するなど、中国を国際的なサプライチェーンから外そうと企ててきました。
実際には思惑通りには進んでいません。
11/15、RCEP(東アジアの地域的な包括的経済連携協定)に中国を含む15か国が署名しました。
RCEPに署名
日経新聞11/16『アジアに巨大経済圏 RCEP15カ国署名』によれば、世界貿易額の3割を占めます。
関税撤廃率は91%で、TPPの99.9%よりはかなり低い水準ですが締結を急いだようです。
参加国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア。ここまでがTPPにも加盟する国々です。
さらにはインドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ミャンマー、ラオスのASEAN諸国が署名しました。
そして中国と韓国です。
2013年より16か国で交渉をすすめてきましたがインドだけが不参加です。
インドの参加により中国の勢力をけん制しようとする狙いがありました。ただ署名は終えたものの、各国は国会承認などの手続きがあるので発効はまだ先の話です。インドが参加できるように門戸は開かれたままです。
中国輸出シェア過去最高を上回る
日経新聞11/29『中国輸出シェア 再び増勢』によれば、足元では世界湯陽刻の輸出に占める中国のシェアが上昇し、過去最高を上回るペースとのことです。コロナ感染で1~3月こそ伸び悩んだものの4月以降は2割超と、過去最高だった2015年の19%を超えて推移しているといいます。中国依存をさらに加速させるようになりそうなのが自由貿易圏の拡大だとも述べています。RCEPによる関税削減の効果で世界の輸出額が増加しその恩恵をもっとも受けるのは中国だろうというわけです。
まとめ
中国包囲が目的であったTPPはトランプ大統領誕生とともに米国は離脱しました。バイデン氏はオバマ政権下でTPPを推進してきたはずですが、早期の復帰はないようです。
RCEPの実現でむしろ米国の孤立が浮き彫りになった感です。パワーバランスの変化をよくみていきたいとおもいます。