トルコリラ暴落に端を発した新興国通貨安で、先週の相場は大揺れでした。
新興国の脆弱性
米政策金利引き上げの最中にあって、わずかなキッカケで新興国の脆弱性が露呈します。
今回のトルコショックは、トルコが拘留する米国牧師の開放を求める米国に対し、8/10にあらためてトルコが拒否した件が引き金となっています。
瞬く間に新興国を不安に陥れました。日経新聞8/19『新興国、資金流出なお警戒』に主な新興国の昨年来8/18時点での通貨下落率が示されています。
トルコ:▲36.9%
アルゼンチン:▲35.8%
南アフリカ:▲15.6%
ブラジル:▲15.4%
インド:▲8.9%
インドネシア:▲7.3%
当記事では通貨下落率が、対外債務のGDP率と経常赤字との相関でグラフとして示されています。
トルコとアルゼンチンは、両指標とも悪く通貨安に大きく現れています。南アフリカ、ブラジル、インドネシアは対外債務のGDP率の高さが、インドは経常赤字の悪るさが通貨安の要因になっているとグラフからは読み取れます。
中国と新興国
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は新興国を牽引する4カ国でしたが、中国はもはや一つ飛び抜けた存在です。中国が他の新興国に与える影響が無視できなくなっています。
日経新聞8/19『中国台頭、IMF離れ促す』で、この問題を大きく取り上げています。
米国は内向き志向になり国際通貨基金(IMF)の出番も見えてこない、そうした状況で新興国の資金面での後ろ盾となるほど規律が緩み、過剰債務の不安が広がっているといいます。IMFは財政健全化を条件に資金を出すので、国民が伴う痛みは大変なものです。アルゼンチンではIMF支援に合意した政府に対してデモが続いています。IMFから融資を受けるぐらいなら、中国からの支援を求める流れが強まっているようです。
パキスタンは対外債務の3割が対中国とのことです。ハイパーインフレに苦しむベネゼエラはIMFではなく中国に支援を求めるようです。中国への借金返済に行き詰まり、港を中国の国有企業にわたしたスリランカのような事態を当記事は懸念しています。
まとめ
米国の政策金利引き上げによる資金流出の懸念から、新興国の通貨安が一気に加速しました。加えて、新興国の対外債務の中国依存が問題視されてきました。米中は貿易摩擦、真っただ中です。
米国、中国、新興国の3極の動きに気を配りながら、確定拠出年金の毎日スイッチングは続けていきたいとおもいます。