私たちは、日々の景気の動向を日経平均株価から判断しようとします。
テレビでニュースをみていても、テロップで表示されます。
一日に3%も動けば、原因となる事件が何か起きているはずで、テレビでも大きく報道されるでしょう。
このブログでは、イチロー効果を説いてきました。
時価総額=口数×時価
私たちは、時価の動きに敏感です。時価が下がれば時価総額の評価損に悩み、上がれば評価益に浮足立ちます。
野球でいえば、打率を重視する考え方です。
でも打率は、打者を消極的にさせることもあります。首位打者が見えてきたシーズン終盤、試合に出場せず打率をキープするなんてシーンは、ファンからすれば複雑な心境です。
打率重視の野球観に革命をもたらしたのがイチロー。彼は、打率よりヒット数を重視します。
一度打ったヒットは消えません。目標「年間200本」に向かう到達まで足取りに皆が関心を持つようになりました。
投資の世界も同じ。目先の評価損益よりも、単価の安い口数(ヒット数)を増やすことが大事です。
日経平均株価ばかりを気に掛けているのは、いわば打率重視の考え方です。
視野を広げましょう。東証1部の時価総額、上場企業数にも着目すると、景気の見方が変わってきます。
直近2017/06/06とバブル期絶頂の1989/12/29のそれぞれを見てみましょう。
日経平均株価 1万9,979円 ←(0.51倍)← 3万8,915円
東証1部上場企業数 2,019社 ←(1.74倍)← 1,161社
東証1部時価総額 599.2兆円 ←(1.01倍)← 590.9兆円
日経平均株価は、ここ数年はアベノミクスのおかげで伸び続けてきましたが、それでもバブル絶頂期のおよそ半分です。
最近、アメリカやドイツなど世界各国で、株式市場の史上最高値更新が続いています。そんなニュースをきくにつけ、日本はまだまだとしょぼくれた声が聞こえてきます。
一方、東証1部上場企業数は着実に増加しています。
バブル期は、時価総額上位をメガバンクが独占していました。時代は変わりました。
携帯電話・スマフォは日常生活に欠かせません。通信会社ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIが躍進しています。
派手なボディコンはどこへやら、地味だが低コスト高品質のユニクロを愛用しています。ファーストリテイリングはバブル後の上場、今では時価総額上位です。
山梨の富士山麓に本社を構えるファナックは、ロボット化の加速にともない、世界トップ企業に成長しました。
東証1部上場企業数がバブル期から2倍近くにまで増えることで、ライフスタイルが変わり世の中が多様化しているのです。
多様な世界は強い。強弱の趨勢が変わっても支え合える。東証1部上場企業数からみれば、バブル期に比べ安定感が増したと云えます。
東証1部時価総額は、ITバブルやリーマンショックで低迷した時期を経て、バブル期絶頂と同じ水準まで戻してきています。
残業代が青天井だった頃を知る世代には、「景気がバブル期まで戻った」と云われても全くピンときません。
たしかに上場企業数は増えていますが、人口は減少しています。無策であれば、今の時価総額はキープできないでしょう。
人工知能(AI)への期待が高まっています。上場企業数増加と人口減少が相反する関係をみれば、機械の力なしには企業の生産性は高まらず、人工知能(AI)の普及は当然の帰結と思えます。
日経平均株価ばかりを気に掛けていてはいけません。
日経平均株価だけがニュースに取り上げられるのは、金持ちにとっても庶民にとっても共有できる尺度だからです。
企業数や時価総額でニュースが語られても、特定の人にしか響きません。
平均のマジックから解き放たれましょう。
日経平均株価という打率は下がっても、東証1部上場企業数というヒット数は堅調です。こうしてみると、本当に先行きがみえないのが東証1部時価総額で、見守っていく必要があります。
確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)は、さまざまな視点から世の中を見詰め運用に取り組みましょう。