なんだかんだ史上最高圏で推移する米国3株価指数と比べると、日本株は低迷しています。
日経平均株価は4月に2万2,000円台に回復するも、昨年10月のピークと年末のボトムのちょうど半値を戻したにすぎません。
春先からいわれていた日本株の低迷の要因の一つは、2019年度(2020年3月期)の業績見通しが出揃っていないことでした。
そして先週末ようやく出揃いました。5/18日経新聞の1面『上場企業2期連続減益へ 20年3月期、製造業苦戦続く』と15面『上場企業の純利益3%減、3期ぶり減益 19年3月期』に今期実績と来期見通しの集計結果が掲載されます。
今期実績と来期見通し
日経新聞社がまとめた1564社(金融・新興市場などは除く)の集計によると、純利益は、
・今期は28兆8,699億円で▲2.8%
・来期は28兆4,517億円で▲1.4%見通し
です。今期は2期連続での最終減益との予想となります。
今期は、製造業は▲7.9%と貿易摩擦のあおりをまともにくらいました。自動車・部品が1兆5,000億円を超える規模の減益で足を引っ張りました。
ただ、非製造業は4.5%増で、純利益の規模が大きい商社や通信、サービス、鉄道・バスが増益でした。商社は大手7社中6社が純利益が最高で、これは原油や石炭などの資源価格が上昇して吸収したようです。通信は金融・決済やコンテンツ配信が補ったようです。不動産は働き方改革もあってオフィス需要が増えたこと、人手不足が問題だった陸運は運賃引き上げできたことがあって増益でした。
来期も製造業の落ち込みを非製造業が補う格好です。製造業は▲5.8%で、自動車・部品の増益が見込まれるものの電機機器や医薬品が落ち込む見通しです。非製造業は4.1%増で、消費増税でも駆け込み需要もあり小売業は増加とのことです。
※小売の増益はピンときませんが、4/18日経新聞『小売り・サービス1割増益 今期見通し コスト高など壁に』によれば2月期決算の小売企業の見通しは増益です。4月の日経平均2万2,000円の回復局面でも小売りは材料視されました(4/16日経新聞『低迷小売株に復活の兆し 訪日客・増税の影響で選別』)。
まとめ
米中協議の難航などの国外環境の悪化により、今月に入って日本株は”セル・イン・メイ(5月に株を売れ)”を地で行く展開です。
日経平均PER(株価収益率)は先週になって11倍台をつける事態です。業績見通しが出揃えば13倍台へ向かうのではと期待を持っていましたが、そんな水準には程遠いのが現状です。
ここは、今期実績と来期見通しをよくみて冷静になりたいところです。