振り替えれば手の凝った駆け引きでした。
先週7/31の日銀政策決定会合で、
・ゼロ%程度とする長期金利の誘導目標を少し引き上げる
・ETFの買い入れ手法の見直し
の検討に入るとの市場の事前予測は、検討だけでなく両方とも本当に実現してしまいました。長期金利の誘導目標は0.2%です。
これはビックサプライズです!
でも、この大きな政策転換にも関わらず既に落ち着きを取り戻した。週間での日経平均の騰落率は▲0.83%に留まりました。
先週後半は米中貿易摩擦の再燃、今週8/9の日米通商協議と、マーケットの関心は既に貿易摩擦に移っています。
もちろん日銀政策転換の影響がベースとなって今後のマーケットは展開されていくわけですが、ひとまず落ち着きを取り戻しました。
事前の織り込み
ことの発端は7/20(金) 23:40のロイター記事
日銀が金融緩和の持続性向上策を議論へ、長期金利目標の柔軟化など=関係筋
でした。週末の日経新聞・日経ヴェリタスがもっと騒ぎ立てててくれれば。。私が知ったのは7/23に入った深夜。慌てて情報を掻き集まました。
「指し値オペ」という冷やし玉を連発
週明け7/23月曜日は10年債利回りがみるみる上昇。指定した利回りで無制限に国債を買い付ける「指し値オペ」を10時10分、敢行しました。指し値は過去の場合と同じく0.11%。
それでも利回り上昇は収まらず7/27には0.10%で再度の敢行で落札額は940兆円でした。さらに2営業日連続で7/30に0.10%にも実施で、落札額は1兆6403兆円と過去最高額でした。
7/31会合終了までは、政策変更はないとのポーズを取り続けなければなりませんでした。劇薬「指し値オペ」の月2回以上の実施、2営業日連続の実施ははしめてのことでした。
冷やし玉を連発でした。
7/31会合終了日の様子、AIの裏をかく?
昼食どきはツイッターのタイムラインをイライラしながらみてましたが、昼休みが終わった1時過ぎに発表でした。通常より1時間ほど遅い発表です。
声明文はわかりずらかったようです。英文記事を読んだ海外投資家があらぬ方向に売買を進めたとの報道も目にしました。私も業務時間中で流れてくるニュースを眺める程度でよくわかりませんでしたが、さほどの変更はなかったのかなぁと感じました。
実際には、その後15時半からの黒田総裁の記者会見では、「従来のプラスマイナス0.1%の倍くらいの幅を念頭に置いて考えていく」との考えを述べ、長期金利の誘導目標を実質0.2%まで容認の構えをみせました。ETF買いも日経平均連動よりTOPIX連動の比率を高める政策を明らかにしています。
日経ヴェリタス8/5号『日銀 金利上昇容認も「玉虫色」』によれば、「フォワードガイダンス(将来の指針)がなければ円高・ドル安は進んだだろう」とみる市場関係者が多いといいます。フォワードガイダンスは「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」と明記されたことで、緩和縮小の観測は退けられたとのことです。
それにこの記事で目を引いたのはアルゴリズム売買への配慮です。「アルゴリズムの機械的な反応で円高・ドル安に触れないよう、表現を工夫したとしても不思議でない」との声が日銀内部からも聞かれたとのことです。
もはやAIの裏をかく技術も開発されているのかな?
緩和縮小を容認せざる状況
金融緩和があまりにも長く続いてデメリットのほうが益々高まっています。今回の政策転換は日銀の想いというよりもマーケットの期待のほうが高かったのではないかとさえ感じてしまいます。
日経新聞8/2『国債「空売り」日銀頼み』によると、「指し値オペ」は日銀だけでなく金融機関側の負担の重さもわかります。金融緩和が続き、金融機関が国債保有は枯れ果てています。
指し値オペに参加しようにも、異例の低金利(高額)で国債を日銀から借りていた実態がこの記事からわかります。空売りして指し値オペに参加して、いったいどれほどの儲けがあるのでしょうか。逆に日銀は、無制限に買い付けると云っても痛みはさほどないのではないかと、この記事読むと感じてしまいます。
まとめ
先週は日銀会合後に、東証1部売買代金は「活況の3兆円」に迫る日もありましたが、もはや鎮静化。ETF買いの是正でTOPIX銘柄の見直し買いの継続が期待されましたが持続せず。
「確定拠出年金の毎日スイッチング」といういわばスイングトレードを続けているわけですが、個別株の動向よりなにより気にしているのが金融政策です。小難しく取っつきにくい話題が多いですが、これからも追っかけていきたいと思います。