かつては株券は紙で発行され、手にとって触ることができました。
暴落すれば「紙切れ同然となる」なんて云い方をします。市場で売り買いされる価格より大きく下回っている状況で、自分が手にしている株券を眺めて嘆く様がこの言葉から目に浮かびます。
私自身は株券を触った経験がありません。
電子化された株券で体感するしかありません。
かつては株券は大事に金庫にさぞ保管されていたことでしょう。湿度の高いところに放置すれば株券は劣化します。額面が読めない株券になってしまえば大変です。紙くずと化してしまいます。
悪貨は良貨を駆逐する。英国王室財務官グレシャムは嘆きました。16世紀のエリザベス1世下で、コインの金含有量を減らしました。市場で流通するのは悪貨ばかりで、金含有量が多いコインは保管に周り経済の停滞を招く。そうした嘆きです。
金は加工しやすく人の手に渡るとわずかに削って流通させる野郎がでてきます。そんな野郎は死刑とする時代もありました。
近代以前は、実物と市場価値(時価)の乖離を国家が介入して制圧してきました。
今でもこうした悩みを持つ国はあります。インドでは昨年2016年、高額紙幣を突然廃止しました。不正隠しで現金を溜め込んでいた富裕層は新紙幣への交換を余儀なくされました。最近のインド経済が元気なのもこの政策の効果が大きかったようです。
マフィアが横行する国では、地下社会と実社会の二面性に悩まされています。映画『ゴッドファーザー』でお馴染みイタリアは、先進国でありながら地下経済が占めるGDPの大きさが話題になったりします。
株は腐りません。
私たちは市場価値(時価)にあまりに心が揺さぶられています。実体としての価値と明確に切り離す気持ちが大切です。
こうしてみてきたように、近代以前は保有しているだけで価値が変わり心配が常に付きまといました。インドのような事態はたまったものではありません。インフレに苦しむ国であれば紙くずと化すかもしれない紙幣へん信頼度は低いです。
幸い日本はデフレ下にあります。もしインフレが本格化すれば日本人どころか世界経済がバニックです。バニックが予想されるのでなかなかインフレになりません。
株はインフレに強いといわれています。たとえインフレが到来しても、現金と比べ株券の価値は下がりません。
株といっても、日経平均株価のように日本を代表する225社に連動する株価であったり、2000社を超える東証1部上場企業の株価に基づくTOPIXなどは、個別株と違ってさらに紙くずになる確率は低いです。
もし万が一紙くず程度の価値になる事態となれば、サラリーマンの身であればそれ以前に解雇の危機がやってきますし住宅ローンの重みで破産しています。株価なんてどうでもよい状況に立たされます。
確定拠出年金のような国策で推進している年金制度のもとで売買(スイッチング)していして手に入れた日経平均株価やTOPIXに裏打ちされた商品であれば、なおさら腐りません。webサイトに掲載される金額でリアリティがありませんが手ごたえを感じましょう。
手ごたえは、webサイトにアクセスしてこそ掴めます。
浮き沈みするのは市場価値(時価)です。いっときの感情に振り回されず、確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)は運用しましょう。