日米欧は物価上昇率2.0%を目標としています。今年に入ってから米国が堅調で4月までの2ヵ月間は2.0%に到達してしまったのに対して、日本と欧州は物価上昇率が下落傾向です。
貿易摩擦の問題に目を奪われて、株式相場はますます視界不良です。でも、米国は物価上昇率に限らず雇用統計などでも強い経済指標が結構出てきます。
4-6月四半期は今週で終わりです。来月7月下旬からは決算発表シーズンをむかえます。好決算が続出するようであれば、「米国に牽引されて株式相場が上昇する」といったストーリーが浮かび上がってくるかもしれません。
物価上昇率って取っつきにくい
物価上昇率ってなかなか取っつきにくいです。
・まず、一般庶民にとってあまり聞きたくない話題だからです。そりゃぁ、当然モノは安く買いたいですよ。でも株式投資をかじり始めると、「物価上昇率が金融政策を決定→金利が変わる→雇用・賃金や設備投資などの企業活動に影響を及ぼす→株価を動かす」というシナリオがみえてきて、物価上昇の重要性の声に耳を傾けざる得ません。一般庶民と投資家としての2つスタンスの違いによるジレンマがあって、物価上昇の話題は煙たいおもいを持ってしまいます。
・それに、物価上昇率が公表される日にそれが要因で株価が大きく動くことはめったにありません。前年同月比で上昇率を測るわけですが、前年同月が低ければ上昇していておかしくないという側面もあるので、どこまで信頼してよい材料なのかもよくわかりません。
・水モノの感も否めません。リーマンショック後の景気刺激策で導入されたエコポイントによって家電需要が喚起されました。その頃購入された家電が耐用年数に差しかかっているので再び需要の波が押し寄せると期待されていました。ところが、日経新聞6/23『鈍い物価上昇 家電が下押し』に掲載の折れ線グラフによれば、家電用耐久財は2015年を100とすると現在は92~94あたりです。家電が物価の押し下げ要因になっていると伝えています。
・なんといっても物価の定義がよくわかりません。インターネットでの売買が十分反映されていない、原油価格が大きく影響することぐらいは新聞ニュースを漠然と読んでいても感じますが、定義というレベルでは普通の人にはよくわかっていません。私もです。定義がわからないので、市場予想との乖離とか変化に着目して重要度を推し量るしかありません。
米・日欧格差が鮮明に
日経新聞6/16『物価停滞 悩める日銀』に、2017/1~2018/4の米欧日の物価上昇率の推移がグラフとなっています。2017/1といえば米国でトランプ大統領が就任した直後です。
・米国は米国はトランプラリーのおかげか2018/1は物価上昇率は2.0%を超えています。その後7月頃まで停滞した後、回復基調です。今年に入って上昇は加速し、3月と4月には2.0%に到達しています。
・欧州は2017/4頃までは2.0~1.5%のレンジです。しかしその後は下落基調で今年に入って1.5%を割り込む状態が定着しています。
・日本は2017/1においては0%付近で今年にかけて1.0%付近まで上昇です。ところが今年になって0.5%近辺まで急降下しています。
なかなか取っつきにくい物価上昇率ですが、中長期でみると今年に入ってからの変化を顕著に感じてしまいます。
当記事にも出てきますが、トランプ政権による大型減税の効果です。直近は貿易摩擦の問題もあってか、昨年末に可決した大型減税のニュースはめっきり減っていますが、大型減税の効果は軽視できなくなっていると感じます。
6月中旬は米欧日の金融政策会合が開催されました。米国はマーケットの予想通り政策金利を引き上げました。欧州はマーケット予想に先駆けて、量的緩和の年内終了の宣言をした一方で政策金利は2019年夏頃まで現水準をキープすると言及しました。日銀は政策の現状維持です。物価上昇率の強弱と相似する結果のように感じました。
まとめ
日本にとっては、2019年10月に迫る消費増税はひたひたと重荷になってきます。
想定されるストーリーに目を光らせて確定拠出年金の毎日スイッチングに励みたいとおもいます。