誘導金利の短期化、次の一手をIMFが後押し?

米国の「隠れQE(量的緩和)」の継続を前提にして株式市場は動いています。
9月のレポ金利急騰以来、FRBは銀行間市場に大量の資金供給をしています。

株式市場は、米中貿易協議での部分合意「第1段階」への期待が高まって、 9月以来好調が続いています。NYダウは28,000ドルに到達しました。
実際には合意は先延ばしが続き、もはや株式市場は期待感を失いつつあります。米国が追加関税「第4弾」が12/15に控えているので合意がなければ大混乱のはずですが、株式市場からは不安感が伝わってきません。
隠れQEの効果が大きいです。

追随して日本にも金融緩和の圧力が高まっています。最近ささやかれている次の一手は、「誘導金利の短期化」です。




誘導金利の短期化

日経新聞11/14『長期金利操作 短期化に関心』によれば、金融政策で操作対象とする長期金利の期間を短くする案(誘導金利の短期化)に関心が集まっています。現在は10年債利回りが0%付近になるようにイールドカーブコントロールしています。

この案では、10年債ではなくたとえば5年債を操作対象に変えます。それにより10年債利回りを自由に上がるようにして、利回り曲線(イールドカーブ)の平坦化を防ぐというわけです。

長めの金利の引き上げは日銀による国債購入の減少につながり、緩和はむしろ縮小との見方もあります。ただ当記事によれば、金融機関経営にプラスの金利上昇は銀行株などの買い材料になり市場心理が改善するとの見方があります。

現時点では、当記事にもあるように、日銀総裁は政策委員会で議論をしているわけではないと否定しています。

IMFの提言

日経新聞12/6『IMFの提言、金融政策修正の呼び水なるか』によれば、国際通貨基金(IMF)が日銀の政策見直しを求める提言を公表し、その中で誘導金利の短期化に触れています。イールドカーブコントロールという手法を、そもそもIMFが前提にしている点が新味でした。

IMFの提言を足がかりに、誘導金利の短期化は現実とかもしれません。

この記事の中でもっとインパクトが大きいのは、「2%の物価目標に幅を持たせる」という提案です。先進国の中央銀行ではカナダなどが2%を基準に上下1%の振れ幅を容認するなど物価目標に幅を持たせているそうです。もし日銀が2%目標撤回してしまえば、これまでの黒田総裁のもとでの金融政策政策の全否定になりかねません。

 

まとめ

来週12/10〜11は米FOMC、翌週12/18〜19は日銀金融政策決定会合です。中央銀行の動向から目が離せません。