大手電力会社が独占していた電力マーケットに新規参入を促す電力自由化が進んでいます。
電力は、発電してから企業や家庭が使用するまでに3つのプロセスがあります。電力を作る「発電」、発電した電力を届ける「送電」、企業や家庭に電力を売る「小売り」です。
この3つのプロセスに関わる事業は段階的に自由化が進んでいます。発電は1995年にはじまりました。小売りは2000年に大規模需要家に2016年に家庭を含めた全面自由化の制度となりました。
ところが送電は規制緩和が遅れているため、発電と小売りのネックとなっています。電力大手が独占を維持している送電は、2020年になってようやく分社化されます。
最近、送電に関する日経新聞記事を立て続けに見かけましたので、ブログ記事にしてお伝えします。
送電線は遊んでいるのに高い
日本の風力発電は風車以外のコストが高いようです。1/7日経新聞『風力発電 送電費用が壁』によれば、発電事業者のコストはドイツの3.5倍です。土木工事、送電線、開発・設計、その他どれをとってもドイツより割高です。普及が進まなければ割高です。このうち送電に焦点を絞って当記事は書かれています。
・日本の送電線網は大手電力会社が保有している。発電事業者は送電線工事代の一部を負担しなければならない
・欧州では発送分離が進んで送電会社が生まれている。送電線への投資は電力料金を通じて社会全体で負担する流れがあるとのこと。しかし日本は発電事業者の負担が大きくなりやすい
・さらに問題なのは送電線は「がら空きの高速道路」であること。東北北部と北海道の機関送電線の実際の利用率は2割以下との試算もあるようです。
動いていない原子力発電所や火力発電所がフル稼働することを想定した送電線が遊んだままとなっているとのことです。送電線の利用が非効率であるために電力料金が高い。。実に残念な状況です。
電力大手も重い腰を上げた
12/22日経新聞の一面トップは『電力融通 平時にも』でした。東京、関西、中部、北陸の大手4社は予備の電力を相互に融通し、太陽光や風力など天候に左右される再生可能エネルギーの発電量の急変に備える体制を築くとのことです。
各社は現在、総需要全体の7%に当たる火力発電所を予備用に待機させ、再生エネの急変に備えているそうです。
4社は予備用の火力発電所の投資・運営負担を抑えるため連携します。政府は2016年度に発電量の15%程度であった再生エネを2030年度に22〜24%まで高める計画です。再生エネの買取義務のある大手電力会社は、送電の効率を高める必要に迫られてあます。重い腰をあげました。
まとめ
12/22日経新聞一面トップ記事は続編が15面にありました。連携協議は東電主導だったので福島原発の復旧負担に巻き込まれる懸念がありました。それを回避する仕組みが築く目処が立ったことから基本合意に至った模様です。一筋縄には行きません。
電力自由化は、日々の相場を動かすほどの材料にはならなくても長期的にはジワっと効いてきます。確定拠出年金のスイッチングをしながら動向に注目していきます。