香港・アルゼンチン、2つの防衛ライン

今年1月から3月はドル安の煽りで各国の株価は暴落したわけですが、こんどはドル高です。米国10年債が3%にノックオンして以来、ドル高が鮮明です。

米国の政策利上げは、今年3~4回がもはや既定路線です。もし2回なんて予想が出てくるようだと景気後退を示唆すると受け止められかねないので、その意味でも利上げ圧力はずっと持続しそうです。




昨年までのゴルディロックス相場(ぬるま湯相場)は終わり。米政策金利は昨年より0.75%UPの状態で今年はスタートしています。ファンダメンタルズが良くても悪くても、金利水準が今年の相場を苦しめています。金利水準の解釈次第でドル安ともドル高とも、何とでもマーケットは今後のシナリオを作れそうです。現在はドル高シナリオが形成されつつあります。

 

アルゼンチン

ドル高シナリオによる悪影響は、海外から米国への資金流出です。経常赤字国の筆頭アルゼンチンのペソは狙い撃ちされています。世界有数の経常黒字国に住む日本にいるとピンときませんが、新興国では通貨安はインフレに直結です。

日経新聞5/9『ペソ下げ止まりも安心できず 100年債アルゼンチンへの疑心暗鬼』によれば、年始に1ドル=19ペソ付近で推移していたペソは一時23ペソ付近まで下落。政策金利を40%まで引き上げ通貨安に対抗しました。

アルゼンチンは昨年、なんと100年債を発行しました。利回り確保に苦しむ機関投資家は、リスク承知でアルゼンチンの100年債に群がりました。当記事によれば年初からすでに15%近く価格が下落しているとのことです。

防衛ラインを死守できず。既に国際通貨基金(IMF)に支援を仰ぐ事態にまで発展しています。

香港

ドルペッグ制の危機です。香港は1983年に米ドルと連動するペッグ制を採用し、2005年からは1ドル=7.75~7.85ドルの範囲に抑える仕組みとしています。日経新聞4/14『香港ドル、米ドル連動 岐路』によれば、香港ドルは35年振りの安値圏です。どんなに香港ドルを買い入れても収まる気配がありません。日経新聞5/10『香港の市場上昇』によれば、香港銀行間取引(HIBOR)が急上昇です。

米利上げに合わせて銀行貸し出しの基準金利を上げても市場金利が上がらず。中国本土から流れる豊富な投資資金が市場金利を抑え込んでしまっているとのことです。その影響で不動産取引は過熱。香港の平均的な住宅価格は年収の19倍に達し、世界で最も手に入れにくい価格水準だそうです。

防衛ラインは突如として決壊するのか。2015年はスイスフラン介入を突如やめ大混乱しました。

 

まとめ

金融の仕組みは、一般の人にはなかなか見えないので不安が付きませんし、一旦危機が起こるとリスクの度合いがよくわかりません。

確定拠出年金の「毎日スイッチング」を続けながら、新聞などで知った金融の話題を今後とも書き留めていこう思います。




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