10年債利回りは今週およそ3倍急上昇

10年債利回りは0.063%です。今週頭に0.02あたりにあったのでおよそ3倍の上昇です。過去1年をローソク足でみても、異様な明さを放つ陽線です。

米国債もここのところ上昇しているので日米金利差はさほど変わらず、ドル円相場はおおむね112円台で推移しました。若干円安気味。為替市場の影に隠れて気づきにくかったですが、日本国債に大きな変化が訪れた一週間でした。

9/29日経新聞『市場、選挙後の財政悪化を警戒 国債の信用力が低下』によれば、国際公約であったはずの「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の2020年度までの黒字化」の達成延期が効いているようです。日本国債の信用力低下の懸念が高まりました。




消費税の使い道を変更

2019年10月に予定する消費税10%は、リーマンショック級の不測の事態が起きない限り実施すると安倍総理は発言しています。

さらに、8%→10%への増税分の用途を変更する方針を明らかにしました。幼児教育の無償化などに回す意向です。今回の衆院選の論点にしようと首相はもくろんでいます。教育関連費に回すので国民感情としては受け入れやすいのかもしれませんが、借金返済に当て込んでいた増税分が消滅してしまうわけなのでプライマリーバランス黒字化の旗は振り下ろすことにしたのです。

 

野党の動き

 

民進党の事実上の消滅に驚いた一週間でもありました。小池都知事が立ち上げた「希望の党」に、民進党に”合流”することになりました。民進党が予定していた候補者は希望の党の名のもとで選挙を戦います。小池都知事は、”合流”に違和感を唱えています。「希望の党」の理念に沿わない候補者は推薦しないと発言しています。

9/29日経新聞当記事によれば、小池サイドの消費税に関する考え方は、景気が回復するまで「増税は凍結する」です。消費税で与党と対立する政策を唱えて戦う見込みです。

プライマリーバランス黒字化という観点からは、増税凍結はやはり目標到達を困難にします。プライマリーバランスは、与野党のどちらの政策であっても未達を促すわけで、今回の選挙での焦点にはなり辛くなってきました。

 

まとめ

 

こうした状況に、マーケットは反応し10年債利回りの急上昇を生んだわけです。政策より政局論争に関心が移ってしまい、今回の衆院選では財政悪化は論点から外れてしまいそうです。日本国債の信用力を映すCDSの保証料率がここ数日で急上昇しました。

確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)は、将来への投資です。国債の信用力が落ちてしまっては長い目で見て先行き心配です。




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