AIに選別される「勝負の価値」

息子の棋力UPへのアドバイスを羽生竜王と女流棋士のみなさまから伺えて、有意義なひと時でした!

Exclusive:羽生竜王とお会いしました!

そして、AI最前線に向き合う人としての羽生竜王のナマの声が聴けて有意義なフォーラムでした。

 

Alpha Zeroは将棋を2時間で学習

人間の知能をAIが上回る、、臨界点にヒタヒタと近づいていると漠然と感じています。

臨界点を超えた後が全くもってみえないので、私などは明るさより不安のほうが先立ちます。

 

将棋界ではとっくに臨界点に達しています。2013年3月、将棋ソフトPonanzaがプロ棋士に勝利を収めています。昨年2017年4月には、将棋界最高峰の佐藤天彦名人がPonanzaに破れています。

そして昨年2017年12月には、Alpha Zeroの誕生です。

囲碁最強ソフトAlphaGoが途方もない進化を遂げました。囲碁で培った手法を汎化したチェスにも将棋にも対応するソフトです。驚くべきは学習速度です。まっさらな状態からわずか2時間ほどの強化学習を行った後、最強の将棋ソフトを打ち負かしたとのです。




羽生竜王はAlpha Zeroに嘆いていました。

「Alpha Zeroは2時間で将棋を覚えた、私の30年は何だったんだ」と。

会場からはどっと笑いが噴き出しました。。

 

コンピュータ同士が互いに24時間戦って進化し続けています。そんな中にあって人間が将棋を指す意義ってなんなんだろう?

そう投げかけてから、羽生竜王は「魅力ある将棋」をプロが指し続けられるかに掛かっているのではないかと述べられていました。

AIはたしかに強いですが、時系列の概念に捕らわれず局面を評価します。魅力を感じるのは人間であってAIではないです。脈絡があること、一貫性のあることに人間は魅力を感じます。コンピュータ同士の無機質な対戦を眺めているだけでは人間は満足できません。

勝つのではなくファンを繋ぎとめる「魅力」がなければ将棋は衰退するのではないか、そのような見解を示されていました。

 

まとめ

ビジネスでも投資でもどこの世界にも勝負事はつきまといます。

でもこれからは、「意味ある勝負」を真剣に選別する時代になっていくのかな?

意味のない勝負はコンピュータ同士の対戦に置き換えていくという時代。経産省伊藤氏の講演では、国会答弁をAIで作成するといった実験をやったことがあるそうです。与党と野党がコンピュータ上で対戦する日がやってくるのでしょうか?

実験はうまくいかなかったそうです。会場は失笑気味の笑いでした。でも、こうした事例ひとつひとつを真剣にとりあげ、勝負の「価値」を振るいにかけていく時代になっていくのだろうとフォーラムを通じて感じました。