私がこの複雑怪奇な商品VIXベアETN(※)を知ったのは2015年の中頃です。
※前回記事で商品の特性を記しました。ご参照ください。
(このチャートは償還が決まった2/6の翌日にSBI証券のサイトを画面キャプチャして保存しておいたものです。今ではみることができません)
値動きが軽すぎる
2015年の中頃は、10,000円前後でした。
2015年後半はチャイナ・ショックと原油の急落で株式市場は大混乱しました。12月には、リーマンショック以来据え置いてきた米政策金利の利上げが実施され一時的にマーケットは回復に向かいました。ところが年が明けた2016年は再び急落です。1末には日銀がマイナス金利を導入し、さらに停滞に向かいました。
2016年2月頃にはVIXベアETNは、5,000円台にまで落ち込みました。半年前の半値です。マーケットで恐怖が高まったため急落したのです。
冒頭に掲載したチャートからは2015年中旬~2016年初旬までの動きはかすんで見えます。
ただ、出来高が突出しているのはわかります。この時期に、この商品が放つ魔性の魅力に取りつかれた投資家が多かっただろうと推察できます。私もこの頃最も売買してました。10,000円前後で買っていた持ち分は損切しました。
この商品に限らず株式投資で痛手を被っていた私が、確定拠出年金の「毎日スイッチング」をはじめたのもこの頃です。確定拠出年金に注力するようになって、株式はほったらかしが基本となりました。2016年は幸いなことに、6月に英EU離脱のサプライズで底を打って以来、株式市場は上昇しました。トランプ大統領誕生で上昇は加速しました。その間にVIXベアETNは、どんどん利益確定しました。
振り返れば2017年は年間を通じて上昇相場でしたが、トランプ大統領誕生した時点では一時的な上昇にもみえました。2017年初頭には、VIXベアETNはほとんど売り払っていました。
値動きの軽い商品です。その軽さに痛い思いをしてきたので警戒感から、買い増しは怖かったです。結局は2017年はほとんど売買していなかったです。
2018/2/6の私
前日2/5のダウ平均は1175ドル安で過去最大の下げ幅を記録しました。これまでVIXは20以下で推移していましたが、一時的に50.3まで急上昇です。
押し目買いの好機でした。VIXベアETNに買い注文を入れました。なかなか約定しません。売り買い交錯で値が付かないのかなぁ、なんてノンキに構えて放置しました。
ところが。。。夜になってツイッターをみてると、「VIXベアETN早期償還」の文字が。。トンデモナイことが起きました!!!
29400円がいきなり1144円になって繰上償還、えげつないな。さすが野村や。
翌営業日の基準値段の取扱いについて:NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(コード 2049) | 日本取引所グループ https://t.co/51b8xGzKKx— 菟道りんたろう (@udohrintaro) 2018年2月6日
これは想定外。翌日サッサと後始末しました。そのとき画面キャプチャを取っておいたのが冒頭のチャートです。
この衝撃は私だけではありませんでした。連日報道されました。日経新聞でも2/10に『価値、一晩で96%消滅』として取り上げられました。当記事に記されているとおり、前日終値2,9400円が一気に1,144円に急落しました。数日前には40,150円の上場来高値を付けていました。世界的にも、クレディ・スイスが出していたVIX連動のETNでも起こっています。
まとめ
私はこうした経緯から軽傷で済みましたが未熟さを痛感しました。。値動きの軽さは、ETNという発行体の信用力に頼った商品であるためとは思っていましたが、終焉が早期償還というかたちでやってくるとは思いもよりませんでした。
やはり、裏付け資産のない商品は怖いです。仮想通貨の怖さはそこにあります。気を付けましょう!