紆余曲折ありながらもサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが12/11、ついに上場です。
これまで時価総額世界最大であったアップルの約1.2兆ドルを大きく上回る約1.8兆ドル(約200兆円)となりました。
発行済み株式のたった1.5%
時価総額が約1.8兆ドルといっても、今回の売出しは発行済み株式の1.5%足らずです。しかもサウジアラビヤ国内投資家向けに限定されました。 1%が機関投資家向け、0.5%が個人投資家向けです。残り98.5%は依然としてサウジアラビア政府の保有です。
海外投資家の評価が得られていないので架空の世界最大の感は否めません。
日経新聞12/13『アラムコ株、 一時2兆ドル超』新よれば、上場翌日の12/12に前日比およそ10%上昇し、時価総額が一時 2兆ドル(約220兆円)を突破しました。2兆ドルは大きな一つの節目です。上場以前に「アラムコの価値は2兆ドル以上」とムハンマド皇太子が主張していたので、それは1つの越えなければならない壁となっていました。対外的な対面をなんとか保った格好です。
官製相場です。当記事によれば、個人向けには6ヶ月保有した投資家にボーナス株を付与する制度となっているので、個人投資家の売りを上場抑止は特に抑止しています。公開株の1割以上を政府系機関や政府系ファンドが買ったとみられており、目標達成に躍起になったとみられています。
脱石油改革
海外の厳しい目があるなか、今回の上場が断行されたのは、「脱石油」の改革のためです。日経新聞12/7『アラムコ上場、日本も試す』によれば、石油消費の伸びは2025年以降に鈍化し、30年代に横ばいになります。乗用車向けに限れば20年代後半に消費はピークを迎えます。工業化の促進が不可欠です。上場化で得た資金を工業化推進に回します。
石油の需要が減れば財政運営も厳しくなります。株式を公開することで、自助努力が求められる社会に変えようとしています。
自助努力を求めるには、国民の自由・権利の幅を広げなければなりません。政府に批判的な批判的なジャーナリストがトルコ大使館で殺害された2018年の事件では、ムハンマド皇太子が関与したと指摘されています。抑圧的で不透明な政治体制がクリアにならなければ、脱石油改革も本格化しそうにありません。
まとめ
今回のアラムコの上場は海外からの目は冷ややかです。海外での上場にはまだ時間がかかりそうです。