シェアリング・エコノミー:個人の資産を企業は喰い物にしていないか

不動産や車のような有形資産から、人が持て余す”隙間時間”のような無形のものまで、個人が持て余している資産はさまざまです。

個人が持て余している遊休資産を活用していかに経済を活性化させるか。2015年頃から「シェアリング・エコノミー」というビジネス概念が注目されるようになりました。

 

カーシェアリングは、シェアリング・エコノミーの代表格です。一般的な存在となりました。

四六時中乗り回されている自動車は世の中にどれほどあるか?毎日満車の駐車場はいかほどか?

そうした疑問に応えたビジネスです。リース会社が用意した1台の車を皆で乗り回す。使いたいときだけ予約して乗ります。

相続で譲り受けるなどして個人が保有する土地を、駐車場にしてリース会社から収益が得られます。

 

”隙間時間”を上手く使えないか。

アルバイト、パートタイマーは昔からある隙間時間を使った働き方ですが、最近注目されているのは、自ら事業主の意識で時間を売り込むビジネスです。

家事代行や犬の散歩、日曜大工など、自分のスキルを隙間時間で活用して収益を得るのです。

人材仲介サービスを通じて、個人が思い立ったタイミングで時間の売り買いができる環境が整ってきました。

人手不足解消、人材の流動化の点からビジネス拡大が期待されています。

 

2015年の税制改正にともない相続税非課税枠の縮小となりました。相続税対策としての賃貸住宅の建設が急増しています。

不動産の分野では、個人が建設した賃貸住宅を不動産業者が借り上げる方式(サブリース)のビジネスが一般化しています。

賃貸経営で恐ろしいのが空室率です。空室期間の家賃を保証することを条件に、不動産業者は個人から長期に渡って物件を借り上げます。土地を保有していても賃貸経営のスキルがない個人に一定のニーズがあります。

この賃貸ビジネスでは、不動産業者と個人が入居者からの家賃をシェアします。次の流れのビジネスです。

①個人:自分の土地に賃貸住宅を建てる

②不動産業者:賃貸住宅を借り上げる

③入居者:家賃を不動産業者に支払う

④不動産業者:空室の如何によらず、借り上げの返済を定期的行う

 

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こうして見てきたように、シェアリング・エコノミーの概念を取り入れた主要ビジネスは、リース会社や人材仲介会社、不動産会社などの仲介業者が介在しています。

 

デフレ下にある消費者としては、できるだけムダなモノは持ちたくない。モノを売りつける商売は苦戦が続きます。

ヒトの心を動かすのは難しいくても、ヒトが保有している資産を動かせないか。

シェアリング・エコノミーにビジネス界が本腰を入れ始めた原動力はそこにあるのだと思います。

初期費用や維持費などの資産を保有するためのコストを減らしてビジネスを始められる点でも、企業側には旨みがあります。

 

見方を変えれば、個人が持て余しているとはいっても大事な資産を、都合よく企業側が活用しかねないビジネスです。

サブリースはトラブルが後を絶ちません。ビジネスの主導権を企業側が握られてしまうと、資産を持っていても個人は弱い立場に回ってしまいます。

シェアリング・エコノミーが成熟するまでには、まだまだ時間を要しそうです。

 

資産とは何か。確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のスイッチングを毎日行っていると考えさせられるテーマです。

 

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