中国とインドの新車販売台数は毎月中旬に公表され、同じ日の新聞紙面に並んで記事なることが多いです。インパクトのある両国の販売減の数字をみると景気減速を実感します。。
ここでは中国の話を取り上げます。日経新聞8/14『中国新車販売、通年2ケタ減も 過去最悪ペース』によれば1~7月は前年比11%減で過去最悪のペースです。
大気汚染が深刻化する中国では、世界一厳しいともいわれる環境車規制(NEV規制)を導入しています。ところが販売減が鮮明で、規制強化のかじとりに中国は苦心しています。
7/1に規制を強化したはずなのに、規制外のハイブリッド車(HV)を取り込んだ優遇策の検討に入りました。HV車は、トヨタをはじめとする日本系自動車メーカーのいわば”お家芸”です。
日経新聞の記事は、どうしても日本びいきのトーンとなっているので控え目にみる必要がありますが、あらたな潮流は見逃せません。
中国の環境車規制(NEV規制)
日経新聞7/13のきょうのことば『中国の環境車規制』によれば、新エネルギー車(NEV)とは、
・電気自動車(EV)
・プラグインハイブリッド車(PHV)
・燃料電池車(FCV)
です。ハイブリッド車(HV)は含まれていません。
規制により自動車メーカーは2019年に生産台数の10%、20年に12%に相当するNEVを生産する必要があります。
NEV規制は中国政府から多額の補助金を受けてきたことで生産体制が整う中国メーカーが有利で、外資系メーカーからの反発を受けながらも拡大してきました。
ハイブリッド車(HV)の優遇
日経新聞7/13の1面トップ『中国、ハイブリッド車優遇に転換 トヨタなどに追い風』によれば、ガソリン車と同等としてきたHVを「低燃費車」とみなし、普及支援に転じるとのことです。
従来はガソリン車もHVも、100万台つくるのに、新エネルギー車としは最高水準のEVなら2万台製造するように求められていました。それが、ガソリン車は厳しくして約2万9,000台、HVはゆるめて約6,000台に変える検討に入りました。
トヨタは4月にHV特許無償開放を打ち出していました。これはEVプラットフォームの外販化に踏み切った独フォルクスワーゲンへの対抗策とみられていましたが、中国のHV優遇により好機になりそうです。
EVシフトを進めてきた中国でしたが、充電設備や航続距離の問題で一般消費者への浸透にはまだ時間がかかるとの認識から、HVも主軸の一つと位置付けたと当記事はみています。
技術面でみてもEVとHVに搭載する電池は、大きくことなるようです。日経新聞8/22『GSユアサ、あえてHV電池』によれば、GSユアサは3年間かけてHV向け電池に3年間集中で投資をするとのことです。EV向け電池には、HV向けとはケタ違いの投資が欠かせず、国策で巨大投資に動く中国にはかなわないとの判断からのようです。
まとめ
長期的にはEVシフトの流れには違いありません。日本の主力である自動車業界の動向はいつも気掛かりです。