確定拠出年金の毎日スイッチングは、
①帳簿を付ける
②途中でやめない
が大前提です。この二つが守れない人は、「こんな運用手法もあるんだぁ」程度に眺めるにとどめたほうが良いです。
というのも、最近(2018年秋)起きている株式相場の暴落をみていると、この手法を株式トレードで試してみようと安易に考えてしまう人が増えてきそうで心配だからです。
実験するなら、目減りしても心が痛まない範囲の資金でやってほしいです。
毎日スイッチングは確定拠出年金向けの手法です。取得価額の特性を利用した方法です。
この記事の内容が「難しいなぁ」と感じたとしたら、売買時に手数料・税金が掛かる株式では計算が複雑になりもっと難しいです。私は株式トレードもやっていますが、確定拠出年金に比べれば遊び程度です。計算に一手間かかる毎日スイッチングの手法を株式トレードには使っていません。
また記事をみて「当たり前だろ」と思われた方もちょっと待ってください。理屈はわかっていても相場の渦中にいると取得価額の意味合いなど頭からすっ飛んでしまいます。冒頭で述べた2つの前提が大切です。①帳簿をつけて自分の状況をしっかり把握する必要があります。そして、②短期で成果が出る手法ではないので状況が悪化しても途中でやめないことです。
株式トレードは口座に振り込む資金をイジれる
私はネット証券(SBI証券)を使って株式投資をしています。ネットサイトでいつでもどこでも状況が確認できて便利です。でも、確定拠出年金のサイトでは確認できる次の指標は、SBI証券のサイトでは見られません。
掛金累計:これまでに現金をいくら口座に投入してきたか
初回入金来運用利回り:口座に投入された現金が増えるペース
確定拠出年金は原則60歳まで手元に現金を引き落せません。このおかげで運用を開始した時点から現在に至るまでの通算での運用成績をこれらの指標で評価できます。
株式の口座からは、たとえば車を買ったり海外旅行をするために自由に現金を引き出せます。株式トレードで通算の成績を評価するなら、ネット証券の口座サイトで管理するだけでは不十分です。
株式トレードで危険なのは暴落時に自然に下がる取得単価
口座に振り込んでいる資金を自由に変えられる株式トレードにおいては、ご都合主義に陥りがちです。個別銘柄の購入に要している元本が、口座資金全体からみてそもそも妥当な金額なのかまず把握しづらいです。
SBI証券の口座サイトには、銘柄ごとに株価の「現在値」とともに「取得単価」が表示されます。現在値と取得単価との差から算出された「損益」は表示されます。購入に要した元本は表示されません。
取得単価の説明は次のページに記載されています。
実際に買付けた価格と違う価格が表示されていますが、取得単価とはどのように計算しているのですか?
大事なのは「売買を続けると実際の買付け価格から取得単価はドンドン乖離する」という点です。
株式相場は、10月に暴落して以降停滞しています。停滞から抜け出そうと乱高下しています。
9月の高値で購入した銘柄は含み損が出ています。この状況で売買を繰り返すと、取得単価は自然と下がってきて含み損は減少します。
そのとき「自分は上手いトレードをしている!」と錯覚してしまいがちです。
危ないです。含み損が減ったのは、取得単価の低下によるものなのか、あるいは本当にトレードが上手くて儲けが出たからなのか、見分けがつかなくなってしまいがちです。購入に要した元本がみえていないので取得価額が妥当なのか把握しづらく、実質の損益がよくわからなくなります。
SBI証券口座サイトでは「参考単価」という金額も表示されます。
に「参考単価はお取引の条件によって任意に算出されますので、必ずしも一定のルールがないことをあらかじめご了承ください。」と記載があります。
ルールがない金額が表示されるとは、、ビックリです!くれぐれもご注意を!
帳簿を付けずにやる毎日スイッチングは、悪手とされるナンピン買いと大差ありません。
お遊び程度でしか株式トレードをしない私は、こんな難しいことは気にせず気楽にやっています。好みの銘柄は積立で購入しています。
まとめ
私が「確定拠出年金の毎日スイッチング」をしているのは、利益を上げるだけが目的ではありません。株式相場の動きを体感して、経済・社会を知りたいからです。確定拠出年金は老後のための資産形成であるとともに、私にとっては良き勉強ツールでもあります。