前回は、買いより売りが難しい理由について、例題を挙げました。
答えはまだでした。
あらためて、例題を述べます。
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■例題
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0日目:
現在あなたは、単価3万円×4口=12万円を持っています。
↓
1日目:
今日は時価2万円です。6口「買い」ました。
平均取得価額=(3万円×4口+2万円×6口)÷10口=2.4万円
となりました。
↓
2日目:
次の日も、時価2万円のままでした。昨日と同じ6口、こんどは「売り」ました。
↓
今の、平均取得価額は?
売買は、マーケットに「流動性」を与える大事な行為だと述べました。
流動性という語感から、「売り」と「買い」は等価な行為に思えるかもしれません。
1日目に6口買ったことで、平均取得価額は3万円から2.4万円に下がりました。
では、売れば、どうかわるのでしょうか?
実は、
売っても、平均取得価額は変わりません。
これが答えです。2.4万円のままです。
あなたの答えは、直感とおりのだったでしょうか。
買ったとき平均が変わったのだから、売ったときにも変わるのでは。そう考えた人が多いのかとおもいます。
あなたは、今日も明日も時価が変わらないという、ちょっと意地悪な例題に惑わされたかもしれません。
日々相場は動きます。日経平均株価に代表されるように、資産家も一般庶民も、「平均」を誰もが気にします。
日経平均株価は毎日動くのだから、動かなかった日なんて想像できないのは当然です。
売り買いをするとき、「損する」あるいは「得する」と多かれ少なかれ人の感情は揺さぶられます。その感情が、「平均も動く」と錯覚させてしまうのです。
実際には、変わるのは、保持している口数と元本だけです。
日 | 口数 | 元本
0日目 | 4口 | 12万円
1日目 | 10口 (6口買)| 24万円
2日目 | 4口 (6口売)| 12万円
売るだけでは、平均取得価額は変わりません。