米税制改革はいよいよ佳境です。
上下両院で可決した法案を一本化する作業が進められています。再可決のリミットは議会閉会の12/22。来週の金曜日です。
一昨日12/12のアラバマ州補欠選挙の結果で、待った無しの状況に与党共和党は追い込められました。補欠選挙は敗退です。これにより上院議席数が一つ減り共和51、民主49となります。年明けの就任までは52なので、造反が危ぶまれる税制改革案は是が非でも年内可決を目指しています。
来年2018年秋には中間選挙を控えています。税制改革で成果を挙げておかないと選挙は苦しいです。日経新聞12/14『米法人税率21%案 浮上』のよれば、記事タイトルのとおり従来の20%より1%上増し案まで飛び出し、造反阻止に躍起です。
アップルは資金還流に向けて約4兆円を準備
法案が成立すれば法人税が35%から大幅に削減されます。税収の補填のアテとして、多国籍企業が海外に溜め込むマネーです。還流する資金に課税しようとしています。
日経ヴェリタス12/10号『アップル、米税制改革で大きな恩恵』によれば、資金還流による課税を少しでも減らそうと、アップルは特別なロビー活動を繰り広げたとのことです。
その結果、約14%の低い税率で資金還流できる見込みとなりました。S&P500採用企業の実効税率は27.8%と当記事は伝えます。14%で済むのなら米国への資金還流は多国籍企業にはとんでもなく大きなメリットをもたらすこととなります。
アップルは既に法案成立を見越して、資金還流時の課税に備えた準備金を約4兆円(360億ドル)も用意しているとのことです。現金を自国に還流させると、世界最大の利益はさらに押し上げられるといいます。
なお、グーグルの親会社アルファベットなど海外で大きな利益を得ている他の企業は、本国に還流すべき海外の利益があるとは認めていないし、準備もしてないと当記事は述べています。それでも減税が、決まれば自社に有利な会計処理をするだろうと言及しています。
まとめ
多国籍企業の露骨な課税逃れは、各国で問題となっています。日経新聞12/14『低税率国に納税 見直し』ではフェースブックが税率の低いアイルランドでの一括納税を変更すると伝えています。
米税制改革案の可決をキッカケに、米国へのマネー還流が高まるとともに、流れを食い止めようと各国は課税強化にさらに動くはずです。
米国の大型減税はマーケットでは概ね歓迎ムードですが、いざ成立するとマネーの流れが大きく変わり世界の株式市場は揺さぶられるかもしれません。
確定拠出年金では国外株式連動の商品を購入しています。毎日スイッチングするにあたっても、米税制改革の行方は気にかけています。