100兆円をブタ積み、日本の上場企業

日本人は貯蓄好きだといいます。擦り込まれた常識なのかもしれません。

世界・GDPに対する国内総貯蓄の割合ランキング

なんてサイトをみていると、日本は69位(2013年)とけっして高くはありません。

ともあれ、日本人は貯蓄好きだとの常識のもと世の中は動いています。

日経新聞12/8『現金「使う力」追い付かず〜カネ余り日本企業を解く〜』によれば、日本の上場企業の預貯金は過去10年で7割近く増え、約100兆円にまで積み上がりました。

貯蓄好きの日本人気質からしょうか、企業の預貯金増加についてのこうした記事に触れると、まず感じるのは安心感です。預貯金が増えたって、われわれのボーナスには簡単には反映されないはずなのに。




投資CFは増えてはいるが

当記事掲載のグラフ「上場企業の現預金と営業CF・投資CF」によれば投資CF(キャッシュフロー)は2010年より増加傾向です。16年度の投資CFは48.4兆円。

それを上回るのが営業CFで59.4兆円です。投資CFとの差分11兆円弱が使い残しで、現預金に積み上がります。2009年度から続く傾向で、預貯金は増加の一途です。2016年度には約100兆円(99.7兆円)にまで達しました。

投資をしても余ったカネがブタ積みされています。

投資基準厳格化がアダ

ブタ積みには株主は黙っていません。ROE(自己資本利益率)が低くなれば、株主は資金を引き上げます。

企業にとってもブタ積みは放置できません。

世界的な成長鈍化で投資機会を見つけにくくなったのが理由のひとつだと当記事は述べます。加えて「投資採算や業績を重視する」企業の姿勢がかえって投資を抑えるというパラドックスに陥っていると指摘しています。

ROE重視で株主側の目が厳しくなり、ヘタな設備投資やM&Aはできなくなってきています。「社長がやる気になっている」などのゆるい理由で投資できる時代ではなくなっているといいます。

 

まとめ

今年の世界的な株高は、ゆるゆるの金融政策のもとで溢れかえったお金が株式に流れ込んだ結果でもあります。株式へのマネーは企業の設備投資やM&Aでも消化できずブタ積みされているのが実情です。

個人投資家としては、こうした企業が溜め込むブタ積みは、自社株買いや配当性向アップで企業からちゃんとフィードバックしてもらったほうが良さそうです。

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