ユーロ圏は回復基調のようです。統計情報ではたしかに好調にみえますが、理由がはっきりしないまま楽観的に相場は動いているようにみえます。信じてよいのかよくわかりません。
強い経済指標が相次ぐユーロ圏
7/31発表の6月ユーロ圏失業率は9.1%で、8年4ヶ月ぶりの低い水準です。8/1発表の4-6月期GDP速報値は年換算で2.3%成長でした。16年が1.8%であったのと比べると強い伸びです。
これを受けて、ユーロは先週週間で他の通貨を抑え最も上昇しました。25通貨を対象とした実効為替レートの指標である日経通貨インデックスが+1.67%。円高にやきもきした先週でしたが、同インデックスでは2位で+0.81です。ユーロは2位を2倍以上引き離し、圧倒的な勢いです。ドルは-0.27%で12位。先月7月はドル安の報道が多かったように感じましたが、先週もそれを裏付けるかたちとなりました。トランプ政権の政策遂行能力に疑問符がつきドル安を招いていますが、加えてユーロ高がドル安要因ともなっています。ドル安は米国企業に好感され、先週はダウ平均は2万2000円の市場最高を突破しました。ダウの好調は世界の株式市場を明るくしています。
ユーロ圏の好景気が、米国さらには世界を牽引している図式が鮮明となってきました。はたしてユーロが不調に転じることがあればかなりの痛手です。
ユーロ圏の物価上昇は鈍い
トランプ政権誕生と同じくして始まったユーロ圏の消費者物価指数の急上昇。ECBが目標に掲げる前年同月比2%付近に、あれよあれよといううちに今年2017年初頭に到達しました。でも、7月は1.3%。
8/6日経ヴェリタス『EU、景気ほど「温まらぬ」物価』によれば、賃金上昇が鈍いのが原因です。「完全雇用」といわれるドイツの1-3月期の実質賃金は前年同期比0.6%増で、3年3ヶ月ぶりに1%の大台を下回ったとのことです。
ではなぜ賃金上昇は鈍いままなのか。当記事によれば、ECBドラギ総裁は6/27の発言で、「賃上げ交渉は過去の物価上昇率を念頭に行われるため、物価低迷が長引けば賃上げへの波及は遅れがち」と述べていたようです。
金融緩和の出口を探る立場にいるドラギ総裁なので、この理由は楽観的なようにも思えます。
構造的な問題は潜んでいないのか。
欧州は小国がひしめき合う共同体です。一様には語れませんが、ネットを探したところ、フランスの雇用構造の変化を取り上げた仏紙ルモンド関連紙が2017/5に出した論説がありましたので紹介します。
当論説によるとフランスでは工業に従事する熟練工が失業と人員整理な脅威に晒されている一方、個人や家庭を相手にしたサービス業につく非熟練工や事務員が全体的には雇用が伸びているようです。自動車部門の生産設備が中欧や南欧に移転する中、家政婦に適応された様々な税制優遇措置などによって政策的にも第三次産業化を推し進めましたとのことです。
果たして持続可能な政策なのか、当論説から感じました。
まとめ
日々の確定拠出年金(401k,iDeCo,DC)のスイッチングは経済紙から得られる情勢を頼りにするしかありません。各種統計・指標を追うだけでも大変ですが、構造的な問題に目を凝らしてこれからも運用を続けたいとおもいます。